カラスの親指 

 

By Rule of Crow's Thumb 



タケ(阿部寛)はテツ(村上ジョージ)とグルになって詐欺を働いていました。競馬場では競馬初心者のふりをして他の客からお金をだまし取ったり、質屋で安物を売りつけていたりしていました。そんなある日、二人が自宅に戻ると消防車が来ていて、タケの部屋から煙がでていました。タケはヒグチたちの復讐がまた始まったと思い、テツと共に逃げます。


新しい家に移り住んだ二人は10代の女の子・まひろと出会います。まひろもまた、巧妙な手口で詐欺を働いていたのです。彼女の身の上話を聞くうち、タケはまひろが8年前に自殺した女性の娘であることに気付きます。家賃滞納でアパートを追い出されそうになっているという話を聞いたタケは、行く所がなければウチに来いとまひろを誘います。後日まひろは姉・やひろとその恋人の貫太郎を連れてやってきました。こうして5人での奇妙な同居生活は始まったのです。

楽しい生活も長くは続きませんでした。不審な車が家の前に泊まっていたり、家の裏手に火をつけられたりしたのです。タケはヒグチたちの仕業だと思いました。一度は逃げようと思ったタケでしたが、立ち向かってお金を騙し取ってやろうと決意しました。ヒグチの事務所と同じマンション内に部屋を借り、ヒグチたちに盗聴器入りの携帯電話を買わせて、事務所に現金を集めさせました。

作戦決行当日、やひろを除いた4人は盗聴器探索業者を名乗り事務所に入り込みます。あたかも金庫に盗聴器がしかけられているふりをして金庫を開けさせます。そして貫太郎が急に銃を取り出し「金を渡せ」とわめきます。その混乱の中でまひろが転落するという騒動を起こします。転落したまひろの役はちひろが演じます。作戦は成功し、その混乱の中で大量の現金をヒグチらから奪えたのです。その翌日、5人は再びバラバラに生活することを決め、それぞれの道を歩み始めます。



後日、タケのもとにまひろから手紙が届きます。その手紙を読むうち、タケはあまりにも“できすぎた展開”であることに違和感を覚えてテツを調べ始めます。するとテツはまひろとちひろの本当の父親だったのです。入院しているテツのもとへやってきたタケは真相を聞きます。

テツは実は大物の詐欺師で、自分の娘たちに真っ当な道に進んでほしい、タケにも安心して生活してほしいと一世一代の演技をしていたのです。まひろたちと出会った事もヒグチたちの仕返しかと思われたことも全てテツが仕組んだ事でした。タケは自分が大ガラスに踊らされていた事を知るのです。
 

テツ(村上ジョージ)は肝臓の病であと1年の余命だった___
妻は借金を苦に自殺したと知った___
探偵を使って娘を探したら、まひろはスリをしていることが分かった___
タケ(阿部寛)が借金取りになった事情も、探偵に調べさせて知った___
娘達を再出発させたいと思った___

タケを許すにはタケの人柄を知らせる必要があり、タケと娘達を引き合わせた。
ヒグチが刑務所方出て復活しようとしていたので、タケにヒグチに復讐させ大金を儲けさせたい。
そして、テツは家族のように暮らす思い出が欲しかった。
そこで、半年前に建設業者の取り込み詐欺で儲けた3000万円を使い劇団を買収したのだった。

2人でやった詐欺も嘘だった___
競馬で男に渡した馬券の下には本物の馬券があって男が少し儲かるようにしていた。
質屋で儲けた金は、テツ自身の金だった。
トサカの死体は偽物で、本物は名古屋の3人のもとに届けた。

タケは、大ガラスのテツに騙されていたのだ。手の5本指のうち、親指だけが他の4本の指と向き合えるように、テツが全てを仕込んでいたのだ。テツはタケに、今度は仙台に行こうと誘う。