シークレット・ウィンドゥ 

 

Secret Window 


モート・レイニー(ジョニー・デップ)は売れっ子の作家。現在妻のエイミー(マリア・ベロ)とは別居中で、離婚協議の真っ最中。プライベートの問題のせいで作家活動もスランプに陥っていました。

ある日、ジョン・シューター(ジョン・タトゥーロ)と名乗る謎の男がモートの前に現れます。シューターはモートの小説が自分の物をだといい、モートが盗作したと言い出します。身に覚えのない盗作疑惑に困惑するモート。

シューターが自分の作品だといって置いていった「シークレットウィンドウ」は過去にモートが書いた短編小説でしたが、シューターが置いたいったものと自分が書いた物とはラストが違っていたのです。シューター作のものは主人公の男が妻を殺して庭に埋めるという内容でした。

モートが知り合いの探偵にシューターの素性調査を依頼すると、モートの周りで恐ろしい事件が起き始めます。愛犬が殺され、元妻のエイミーの家が放火されたのです。さらに雇っていた探偵も殺害されてしまいます。

疑心暗鬼になったモートはシューターの後ろに別の黒幕がおり、自分の小説を奪おうとしているのではないかと考えます。そして、エイミーの現在の恋人であるテッドを疑い始めるのでした。

しかし、実はシューターも、黒幕もすべて実在しておらず、精神を病んだモートの妄想だったのです。シューターはモートのもう一つの人格ですが、モートは妄想と現実の境がわからなくなり、とうとうエイミーとテッドを殺害して庭に埋めてしまいます。

事件から日が経ち、モートは作品作りが軌道に乗り始め、見た目にも気を遣うようになり、すっかり明るい表情を取り戻ました。プライベートの問題に悩んでいたモートの人格を消し、作品のことだけを考えるシューターの人格のみが残ったのでした。庭にはトウモロコシが生い茂っており、家の窓からその様子を満足そうに眺めるモート。
 


スティーヴン・キングが書いた小説「秘密の窓、秘密の庭」がジョニー・デップ主演のこの映画・シークレットウィンドウの原作ですが、原作の小説の結末は映画のものとかなり違うものになっていると話題になりました。

モートが妻・エイミーを追い詰め裏庭に出てきたところで、放火について調べて保険調査員がモートを射殺してしまいます。映画ではモートがエイミーを殺して生き残りますが、原作ではエイミーが生き残って主人公のモートが死んでしまうという真逆の結末になっています。

別荘を片付けていたエイミーがジョン・シューターという人格のときにモートが被っていた黒い帽子を発見します。その帽子には手紙が添えられていて、「故郷へ帰る。小説は手に入れた」とシューターのサインが書かれていました。映画よりも原作は謎めいたラストになっています。

結末からも分かるように、シークレットウィンドウは多重人格者をテーマとしたストーリーです。物語を通して、浮気をして自分と離婚したがっている妻を憎んでいるジョニー・デップ演じる主人公・モートが妻の殺害を実行に移すまでを描いています。

「ずっと探していた犯人が実は主人公だった」という結末は、ミステリーの小説や映画ではよくあるタイプかもしれませんが、シークレットウィンドウはその結末にさらに「犯人である主人公が実は多重人格者だった」という内容が入っているので、他のミステリー映画に比べて物語がさらに複雑になってくるそうです。