シャッターアイランド 

 

Shutter Island 



1954年、アメリカのボストン湾にある孤島、「シャッター・アイランド」に一軒の精神病施設、アッシュクリフ病院がありました。この病院には犯罪を起こした精神疾患を持つ犯罪者ばかりが収容されています。孤島である為本土とは行き来が難しい環境であるにも関わらず、ある日レイチェルという患者が行方不明となりました。

彼女の行方を追う為、保安官であるテディとチャックが派遣されます。レイチェルはかつて自分の子供3人を殺害しましたが、自分の子供はまだ生きていると信じ、その死体と共に生活をしていたという事でこの病院に入所が決定しました。入所しても彼女の病的な思い込みは治らず、彼女はこの施設が自分の家で、子供達がどこかにいると信じきっています。

そんな中、テディはとある重要な情報を仕入れました。レイチェルの担当医であるシーアン医師が、彼女が行方不明になった時と時を同じくして、この島を立ち去っていたのです。テディはレイチェルの失踪とシーアン医師は何か関係していると思い調査に乗り出します。

しかし、島を襲う嵐の為、シーアン医師と連絡が取れず操作は行き詰ってしまいます。そこでテディは、この島に来たもう一つの目的、かつて自分の妻を殺した放火犯に面会をする事にします。その男の名前はレディス、彼は放火後この病棟に収監されていました。しかし、彼のファイルデータは何処にも存在せず、他の囚人たちにレディスのことを尋ねても皆が一様に多くを語りません。

テディは、病院側が何らかの理由でレディスに関する情報を伏せているのではないかと考え始めます。そんな中、テディはミセス・カーンズという囚人から「逃げろ」と忠告を受けます。この忠告を受けて、更にテディはこの病院には何かが隠されているという疑念を強くします。

実はこの病院では現在では違法とされている「ロボトミー手術」が行われていました。”人を穏やかにする”というロボトミー手術を囚人達に受けさせ、効果が見られれば全国に発表しようと考えていたのです。テディは、初日に院長に言われなかったC棟に何かが隠されていると踏みC棟へとこっそり向かいました。

C棟には、ジョージ・ノイスもいう男が収監されていました。テディはジョージにこの病院の秘密について問いますが、ジョージは不敵に笑うばかりです。そしてテディに向かって、「レディスはお前だ」と告げるのです。意味のわからない発言に、テディはジョージを諦めもう一つ案内されていない場所、灯台へと向かう事とします。

何故か相棒のチャックはそれを止めますが、彼の制止を振り切りテディは灯台へと向かいました。すると何と、灯台の近くにある洞窟の中でテディはずっと探していたレイチェルを発見したのです。しかし実際のレイチェルは患者ではなくこの病棟で勤務していた医師でした。




明らかに不審な病院の証拠を抑えるべく、テディは証拠を探し求めます。しかし証拠は見つからず、テディは改めてコーリー院長と顔を合わせる事になりました。すると院長は、テディの本名が「アンドリュー・レディス」であり、この病院の患者であることを告げます。

第二次世界大戦に出征したテディはそこで精神を病んでしまったのでした。酒浸りになったテディを見ていられず、妻、ドロレスは鬱病を患ってしまいました。そしてドロレスは3人の子供達を殺し、私を殺して欲しいとドロレスに懇願します。彼女のいう通りにドロレスを殺したテディは完全に精神が崩壊してしまいこの病院に入院する事となったのでした。

今まで彼が追い求めていたものは全て彼が現実から逃避する為に彼自身直作り上げた妄想だったのです。病院側はそんなテディに「ロボトミー手術」を受けさせるかどうか決定する為、今回の彼の妄想に付き合っていたのでした。そして正気に戻らなかったテディには手術が施されることが決定しました。

手術を受ける朝、テディは実は彼の担当医であった相棒のチャックことシーアン医師に「モンスターのまま生きるか、善人のままで死ぬかどっちがいいかな」と言葉を零します。実はテディの記憶は既に戻っていましたが、自身の過去に押し潰されそうだった彼は自ら精神障害者を装い、ロボトミー手術が受けられるように仕向けたのでした。そんなテディの後ろ姿を、シーアン医師は呆然と見送りました。
 


本作の内容はフィクションですが、作中で登場した「ロボトミー手術」は実際に1930年代から精神医学にて取り入れられていた治療法です。

大脳を切り取ることで、精神障がいを改善できると期待され、爆発的なブームとなりましたが、手術を受けた患者に無気力、創造性のなさ、人格変化などの悪影響が現れたことで、廃止されるようになりました。