阪急電車 片道15分の奇跡
 



 



32歳OLの高瀬翔子(中谷美紀)は、同僚の彼氏との結婚準備をすすめている中にもかかわらず、彼氏が後輩を妊娠させてしまいます。結婚を破棄したいと言われ、三年も付き合ってきた彼氏の身勝手な言い分に、翔子はブちぎれます。会社に入って仕事も友達もできない後輩の面倒を見てきたにもかかわらず、裏切られる形となってしまった翔子。彼氏からは「翔子に自分は必要ない」とまで言われ、しばらく黙っていた翔子は、披露宴に自分を招待する条件で承知しました。

結婚式当日、彼氏と後輩に対する復讐のため、翔子は純白のウエディングドレスの姿で出席。式場ではウエディングドレスで出席する翔子は、好奇の目で見られます。何も知らずに式場に入ってきた新郎の彼氏と新婦の後輩は、翔子を見て唖然とした表情を浮かべ、翔子は復讐ができたことに満足していました。その後に退席を求められ、引き出物をもって電車で一人帰る翔子。



翔子と同じ電車に乗っていた時江(宮本信子)は、夫を亡くし一人で暮らし。孫の萩原亜美(芦田愛菜)の母が出かけるときは、孫の面倒を見ています。日頃から電車で携帯をいじる大人たちのマナーの悪さに、時江はがっかりしていました。

ウエディングドレス姿で涙を流す翔子を見て、不思議がる亜美。時江はウェディングドレスに引き出物を持った翔子の事情を察して、亜美を黙らせた後、翔子に話しかけます。「話せば楽になる」と言われ、翔子は洗いざらいすべてを告白しました。その心意気を称え、涙の止まらない翔子を次の駅で下車して少し休むように勧める時江。小林駅で降りた翔子は、時江の言葉で自信を取り戻し、服を着替えて気持ち新たに進みだすことを決めたのでした。

翔子が降りた後、亜美から犬を飼うようすすめられる時江ですが、絶対に犬は飼わないと決めていました。時江が若い頃、実家に挨拶に来た夫が犬に噛まれ、それ以来夫は犬が苦手になってしまいました。そんなことを時江が思い出していると、カツヤ(小柳友)の怒鳴り声が聞こえます。


主婦の康江は、PTAで親しくなった奥様達との会食が悩み。金持ちなわけでもないのに高級ランチを自分だけ食べ、家族には作っておいた安い昼食を食べさせるのが苦痛でしかたないのだが、奥様達の中で立場が弱く、断ることもできない。

高校生の悦子は、受験を控えている。悦子には社会人の恋人竜太がいるが、高卒の竜太は悦子の大学合格を第一に考え、初体験は合格までとっておこうと約束する。
だが、担任には合格は厳しいと言われ、自暴自棄になった悦子は竜太を強引にホテルに誘う。しかし、悦子を思いやる竜太は断る。
その後、志望校の前で悦子は学生に質問する。「受験勉強で苦労したか」と。偶然声をかけられた圭一と美帆の答えを聞いた悦子は、前向きに努力しようと思うのだった。

ミサは、DV男と別れていた。その日、ランチに向かう康江らと偶然乗り合わせる。周囲に全く気を遣わずに騒ぐ奥様連中を見て、ミサは「おばちゃんって最低」とつぶやく。
奥様達のマナーの悪さに気付きながらも黙って合わせることしかできなかった康江は、そのミサの一言で急に気分が悪くなり、途中下車する。
ミサはそれに気づいて付き添って下車する。自分も以前時江の一言で彼氏と別れる決心をした経験もあって、無理して人に付き合う必要はないと言う。康江はその一言に励まされ、心が軽くなるのだった。

翔子は、あの日途中下車した小林駅を気に入って引っ越してきていた。
その日、小学生が同級生たちにいじめられている場に出くわし、声をかける。するとその子も「翔子」という名前だという。親近感がわいた翔子は「きれいな女は損をするようになってる」と女の子を慰めるのだった。