マレーナ
 

 


Malena 

 ◆ジャンル/人間ドラマ ◆公開年/2001/06/09 
◆上映時間/92mins. ◆アメリカ映画 



忘れられないひと。 あの頃、あなたが世界のすべてだった。

1940年の晩春、シチリア。戦争が始まってまもない頃、12歳の少年レナートは、村一番の美しい女マレーナと出会う。彼女は二週間前に結婚したばかりだったが、夫は早くも戦線に送られてしまい、一人でひっそりと暮らしていた。マレーナに魅了されたレナートは、その日から毎日彼女の後を追い、恋心を募らせていく。

 やがて敗戦と共に平和が訪れようとしていたが、ある日、マレーナに夫の戦死が伝えられる。未亡人となった彼女は、弁護士の愛人となり、次にナチ将校に弄ばれ、米軍の玩具となり、転落の果てに村の女たちの暴行を受け、悪評だけを残しほとんど裸同然で村を追われた。そこへ帰還したのが、戦死したはずのマレーナの夫。妻の恥辱にショックを受けた重病の彼に、マレーナをずっと見守り続けてきたレナートは、彼女が愛していたのはあなただけだったという手紙を送るのだった。


その時ぼくは13歳。美しい人妻マレーナに夢中だった---この映画は、マレーナに憧れる少年の話ではなくて、少年の目を通して見たマレーナの物語。少年とマレーナの接点が実際にはないので、マレーナ自身の視点では描かれないのです。綺麗なだけの映画ではなく、夫の戦死の報が伝えられたことから、彼女の人生が一変する---人間ってここまで酷になれるものか、目を覆いたくなるようなシーンもあり、それでも切なさが残る---陽の部分ばかりではなく人間の闇の部分にまで踏み込むあたりはトルナトーレ監督の本領発揮。


ニュー・シネマ・パラダイス』のトルナトーレ監督作。イタリア映画が好んで描く、年上の女性に憧れる少年の物語。なにより主演のモニカ・ベルッチが美しい。監督のトルナトーレは原作小説を気に入って長年構想を練っていたというが、ベルッチと出会った途端に映画化を具体的に進め始めたという。彼女がエレガントなスーツを身につけて港町を優美に歩く姿は異性ならずともスクリーンに視線が釘付け。彼女に憧れる少年役のスルファーロのコミカルな表情も楽しい。


■監  督■ジュゼッペ・トルナトーレ

■脚  本■ジュゼッペ・トルナトーレ

■原  案■ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ

■音  楽■エンニオ・モリコーネ

■キャスト■
モニカ・ベルッチ/ジュゼッペ・スルファーロ/
ルシアーノ・フェデリコ/マティルデ・ピアナ