-我 妻 善 逸-

***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 

炭治郎・伊之助との再会~鼓屋敷編
那田蜘蛛山での戦い~那谷蜘蛛山編
機能回復訓練~柱合会議・蝶屋敷編
~ 無 限 列 車 編 ~
上弦の陸・妓夫太郎/堕姫との戦い
~ 柱 稽 古 ~
兄弟子・獪岳との戦い
無惨との死闘
戦 い の 後
 
我妻善逸(あがつまぜんいつ)は、炭治郎の同期に当たる鬼殺の剣士。炭治郎らが赴いた鬼殺隊士の最終選別に同じくして立ち向かい、たった五人生き残った精鋭隊士の一人である。

雷の呼吸』の使い手であり、聴力が優れている。
とてつもない臆病者で、鬼と戦うことをひどく恐れている。鬼と戦う時は、気絶しながら戦う。

※五人(竈門炭治郎/我妻善逸/嘴平伊之助/栗花落カナヲ/不死川玄弥)
善逸は、女好きと、「信じたいものを信じる」という考えを持っていた為に、多くの人間に騙され借金苦に陥っていた。そこを育手である桑島慈悟郎に助けられ、鬼殺隊の剣士となるべく特訓を受ける。

しかし、善逸はいくら特訓を摘もうとも、一つの型しか習得できなかった。その為、善逸は稽古を嫌がり、逃げ出してしまう。善逸は木の上に登って連れ戻しに来た桑島を避けていた。
その時、善逸が登っている木に雷が落ち、善逸は感電してしまう。その時のショックにより善逸は黒髪から金髪に変わった。
その後、善逸は鬼殺隊の最終選別試験を生き残り、鬼殺隊の剣士となった。しかし善逸は「死ぬわ。死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。ここで生き残っても結局死ぬわ俺。」と弱音を吐いていた。その後、鬼殺隊員に連絡事項を伝える『鎹鴉(人語を話す鴉)』が与えられるが、善逸だけはなぜか鴉ではなく雀(チュン太郎)だった。



―炭治郎・伊之助との再会―

【原作】3巻20話「我妻善逸」

善逸は、自身に声をかけてくれた女性に泣きながら縋り付いて「いつ死ぬかわからないんだ俺は!だから結婚してほしいというわけで!頼むよォーッ!」と求婚していた。その時、炭治郎が通りがかり、善逸を止めた。

善逸は炭治郎を見て、最終選別試験にいた人物だと思い出したが、炭治郎は全く善逸のことを覚えておらず「お前みたいな奴は知人に存在しない!知らん!」と吐き捨てた。炭治郎が女の子を帰そうとすると、善逸が「その子は俺と結婚するんだ!俺のこと好きなんだから!」と口を挟んだ。

すると女の子は何度も善逸を殴打し始め、善逸は泣き出した。女の子は蹲っている善逸のみを案じて声を掛けただけであった。善逸が「なんで邪魔するんだ!」と炭治郎に食ってかかると、炭治郎は善逸のことを苦い顔で見ていた。「お前責任とれよ!お前のせいで結婚できなかったんだから!」と善逸が言うと、炭治郎は善逸を軽蔑するかのような顔で見ていた。

善逸は「俺はもう直ぐ死ぬ!次の仕事でだ!俺はな、もの凄く弱いんだぜ!舐めるなよ!俺が結婚できるまでお前は俺を守れよな!」と告げた。その後、善逸は炭治郎と一緒に任務に向かうことになった。
行き着いた先は、一軒の屋敷があった。そこには元十二鬼月である響凱が住んでおり、人間を攫って喰っていた。そして人間を狙って響凱以外の鬼も屋敷に入り込んでいた。


【原作】3巻21話「鼓屋敷」~25話「己を鼓舞せよ」

屋敷から男性が血塗れで出てきた事もあり、善逸は中に入りたがらなかった。しかし、それを見た炭治郎が怒りの形相で一人で屋敷に入ろうとしたため、善逸は泣きながら炭治郎についていった。

炭治郎たちが屋敷に入ったところで、響凱に兄を攫われた兄妹が屋敷に入ってきた。炭治郎たちが兄妹たちに外に出るように促している時に、屋敷の部屋を入れ替える響凱の血鬼術が発動し、それにより炭治郎と善逸は離れ離れになってしまう。
善逸は屋敷に入ってきた少年・正一と一緒に屋敷を彷徨っていた。その途中で猪の被り物を身につけた人間に出会い、善逸は絶叫する。さらに鬼と遭遇し、正一と逃げ回った。しかし、鬼に追い詰められてしまい善逸は気絶してしまう。

正一は自分の死を悟ったが、気絶したはずの善逸が起き上がり、『雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃』で鬼を瞬殺した。そんな善逸にあっけにとられていた正一だったが、目を覚ました善逸は正一が自分を守ってくれたと思い込んで正一に縋り付いた。

響凱は炭治郎が倒し、任務は終了した。


【原作】4巻26話「鼓屋敷」~28話「緊急の呼び出し」


善逸は炭治郎が鬼を連れている事は優れた聴覚により知っていた。だが、善逸は誰よりも優しい音がする炭治郎の事を信じていた。

屋敷の外に出た善逸は、猪の被り物を被った男と再会する。その男は、同期の鬼殺隊の剣士である嘴平伊之助だった。伊之助は箱の中に鬼がいる事を感じ取り、禰󠄀豆子を殺そうとする。善逸は炭治郎が大事だと言っていた箱の中身を守るために、箱を庇って伊之助から殴られた。その後、炭治郎が屋敷から戻り、伊之助を頭突きにより昏倒させた。
傷を癒す中で、善逸は箱の中の禰󠄀豆子を見る。二人が兄妹だと聞いていなかった善逸は、炭治郎が可愛い女の子を連れて旅をしている事に激怒した。

善逸は「お前が毎日アハハのウフフで女の子とイチャつくために頑張ったわけじゃない!そんなことのために俺は変な猪に殴られ、けられたのか!?鬼殺隊はなぁ!お遊び気分で入る所じゃねえ!お前のような奴は粛清だよ!即粛清!鬼殺隊を!舐めるんじゃねぇぇぇ」と叫び、炭治郎に日輪刀を向けた。

その後、善逸は炭治郎・伊之助と行動を共にするようになる。



―那田蜘蛛山での戦い―
【原作】4巻32話「刺激臭」~34話「強靭な刃」

善逸は任務により炭治郎たちと那田蜘蛛山へ向かった。
善逸は山に入る事を嫌がり、炭治郎と伊之助は善逸を置いて山に入ってしまった。

善逸はしばらく蹲って震えていたが、炭治郎が禰󠄀豆子を連れて行ったことに気付いて慌てて山の中に入っていった。

那田蜘蛛山には下弦の伍である累がいた。累は家族の絆を求めている鬼であり、他の鬼を集めて擬似的な家族関係を気付いていた。
→【原作】4巻28話「緊急の呼び出し

善逸が山を彷徨っていると、背後で物音がした。善逸が音がした方向を振り向くと、そこには人間の頭が付いた蜘蛛がいた。それを見た善逸は「こんなことある!?」と言って走って逃げた。

その先で善逸は『兄』の鬼と遭遇する。善逸は「俺、お前みたいな奴とは口聞かないからな!」と言って即座に逃走を開始する。その時、善逸は手を見るように話しかけられる。善逸が手を見ると噛まれた後があり変色していた。

『兄』の鬼は、善逸が毒によりもうすぐ蜘蛛になると告げた。善逸はそれが受け入れられずに木に登って泣き始める。しかし、早くも善逸の髪が抜け始め、身体が鬼へと変わり始めていた。自分の髪がバッサリと抜けたことにショックを受けた善逸は気絶した。

善逸は木から落ちながら『霹靂一閃』を繰り出す。反撃する『兄』の鬼に善逸はなんども『霹靂一閃』を繰り出す。それを見た『兄』の鬼は、善逸が『霹靂一閃』しか使えないことを悟った。
その時、善逸は鬼殺隊に入る前のことを思い出していた。

桑島は一つの型しか使えない善逸に「いいんだ善逸。お前はそれでいい。一つできれば万々歳だ。一つのことしかできないならばそれを極め抜け。極限の極限まで磨け。」と話した。

しかし、善逸は兄弟子に「先生がお前に稽古をつけてる時間は完全に無駄だ!目障りなんだよ消えろ!なぜお前はここにいるんだ!なぜお前はここにしがみつく!」と非難されていた。
善逸は、毒が回り吐血する中で「親のいない俺は誰からも期待されない。誰も俺が何かを掴んだり、何かを成し遂げる未来を夢見てはくれない。誰かの役に立ったり、一生に一人でいいから誰かを守り抜いて幸せにするささやかな未来ですら誰も望んではくれない。一度失敗して泣いたり、逃げたりすると、あぁもうコイツは駄目だって離れてく。でもじいちゃんは何度だって根気強く俺を叱ってくれた。なんどもなんども逃げた俺を、何度も何度も引きずり戻して。明らかにちょっとアレ殴りすぎだったけど、俺を見限ったりしなかった。」と考えていた。

そして善逸は『霹靂一閃』を連続で放つ『霹靂一閃 六連』を使用して『兄』の鬼の頸を落とした。

毒が回って善逸は諦めようとしたが、桑島や炭治郎に怒られると思い直し、呼吸を使って毒の巡りを遅らせた。

その後、駆けつけた応援に助けられた。



―機 能 回 復 訓 練―
【原作】6巻48話「蝶屋敷」~51話「日輪刀還る」

那田蜘蛛山の戦いで負傷した善逸や炭治郎は『蝶屋敷(蟲柱の胡蝶しのぶが所有する医療施設)』へと送られる。

善逸は身体が蜘蛛になりかけており、炭治郎、伊之助の中で一番重症だった。
→【原作】6巻48話「蝶屋敷」

炭治郎と伊之助はリハビリである『機能回復訓練』を一足先に始める。機能回復訓練を終えた2人はいつも話す余力が無いほどにぐったりしていた。

傷が癒えた善逸は恐れつつも機能回復訓練へと挑む。その内容は、蝶屋敷にいる女の子による無理な柔軟や、鬼殺隊の栗花落カナヲや神崎アオイとの追いかけっこだった。それを知った善逸は、炭治郎たちが女の子たちと触れ合っていたことに激怒し、伊之助を殴りつけた。そしてこれから機能回復訓練をすることが楽しみすぎて、跳ね回った。

炭治郎や伊之助は、泣くほどの柔軟や、アオイやカナヲに全く敵わない不甲斐なさで落ち込んでいた。しかし、善逸は笑顔で柔軟をこなし、アオイをいとも簡単に捕まえた。そんな善逸を見て伊之助は「あいつやる奴だぜ。」と見直しており、炭治郎は呆れた顔をしていた。

しかし、カナヲには敵わず、善逸は徐々に機能回復訓練を休むようになる。そんな時、しのぶから「頑張ってください善逸君。一番応援してますよ。」と言われて手を握られた事でやる気を取り戻し、『全集中の呼吸・常中(全集中の呼吸を常に行う)』を体得し、機能回復訓練を終えた。



―無 限 列 車 編―
【原作】7巻54話「こんばんは煉獄さん」
~8巻66話「黎明に散る」

その後、善逸たちは炎柱である煉獄杏寿郎に会いに、煉獄が乗車している『無限列車』へと乗り込んだ。その列車は鬼が出ると言われており、それを聞いた善逸は絶叫する。

無限列車には下弦の壱である魘夢が乗り込んでいた。魘夢は『眠り鬼』と称される鬼で、自在に夢を見せることができた。魘夢は人間たちに幸せな夢を見せることを条件に、炭治郎たちを襲わせた。

魘夢は炭治郎たちを眠らせ、人間たちをその精神世界へと送り、『精神の核』を破壊させようとしてた。『精神の核』を破壊された者は廃人となってしまうのだった。

【原作】7巻58話「おはよう」
炭治郎たちはそれぞれに違う夢を見ていた。善逸は人間に戻った禰󠄀豆子と手を繋いでデートをしている夢を見ていた。『精神の核』は夢の外側にある『無意識の領域』に存在していた。

通常、『無意識の領域』には誰も存在しないはずだった。しかし、並外れて我が強い者の中には『無意識の領域』に人が存在するケースがあった。善逸の『無意識の領域』は真っ暗で何も見えなかった。

その中へ入った人間が、手探りで『精神の核』を探していると、ハサミを持った善逸が「何で男なんかが入り込んでやがるクッソ害虫が。ここに入ってきていいのは禰󠄀豆子ちゃんだけなんだよ殺すぞ。」と言いながら背後から現れた。こうして善逸の『精神の核』は破壊されることがなかった。
その後、ただ一人眠りについていなかった禰󠄀豆子により、一同は眠りから覚めた。

魘夢は無限列車そのものと融合しており、乗客全てを喰らうつもりだった。炭治郎と伊之助が魘夢を倒しに行き、煉獄、善逸、禰󠄀豆子は乗客を守った。

【原作】8巻66話「黎明に散る」
炭治郎たちが魘夢を倒すが、その直後に上弦の参である猗窩座が襲来した。善逸は猗窩座の襲来に気付いておらず、炭治郎たちの元へやって来た時には煉獄が猗窩座によって殺害されていた。善逸は炭治郎たちと煉獄の死と、自分たちの不甲斐なさに涙を流した。



―上弦の陸・妓夫太郎/堕姫との戦い―
【原作】8巻70話「人攫い」~95話「最期」

その後、善逸たちは傷を治しつつ鍛錬を積み、それぞれが任務に出かけた。善逸は駄々をこねずに一人で任務に行くようになった。そんな時、音柱である宇髄天元が蝶屋敷のアオイを任務に無理やり連れて行こうとしていた。その場面を目にした炭治郎たちはアオイの代わりに任務に行く事になった。

宇髄が向かったのは吉原で、そこには上弦の陸が潜んでいた。鬼を探すために、善逸たちは宇髄に女装させられ、遊郭へと潜入させられた(顔立ちが整った伊之助や、素直で頑張り屋な炭治郎はすぐに引き取られたが、善逸だけは売れ残り、二束三文で売られた)。
 
善逸が潜入した遊郭には『蕨姫花魁』という花魁がいた。善逸は蕨姫花魁から聞こえる音により、蕨姫花魁が鬼だと見抜いた。蕨姫花魁は『堕姫』という鬼で上弦の陸だった。

堕姫はひどく傲慢な性格で、自身に歯向かう者に容赦なく暴力を振るっていた。善逸は堕姫から暴力を振るわれる女の子を庇ったことにより、堕姫の怒りを買い、失神させられた。その時に、咄嗟に受け身を取った為に鬼殺隊の剣士である事を知られた。堕姫は帯を操る鬼で、善逸は帯の中に吸収される。

その後、伊之助により帯に閉じ込められていた善逸は解放される。そして善逸は伊之助、宇髄と共に堕姫と戦っている炭治郎の元へ向かう。善逸達より先に炭治郎の元に着いた宇髄は、容易く堕姫の頸を斬り落とした。

すると堕姫の身体の中から『妓夫太郎』という鬼が出てきた。上弦の陸は妓夫太郎と堕姫の兄妹の鬼であり、2体の頸を同時に斬り落とさなければならなかった。善逸と伊之助は堕姫を相手にする事になった。
善逸と伊之助は堕姫と戦っていたが、堕姫の攻撃に加え、妓夫太郎が飛ばす血の斬撃に苦戦していた。そこで炭治郎を加えて、3人で堕姫の頸を落とす事になる。善逸は炭治郎と一緒に堕姫の攻撃を捌き、伊之助がその隙に堕姫の頸を落とした。

伊之助はそのまま堕姫の頸を持って逃げようとしたが、背後から現れた妓夫太郎により胸を刺された。妓夫太郎の相手をしていた字髄は倒れていた。そして善逸は家屋の倒壊に押し潰され、炭治郎もその衝撃で意識を失ってしまう。

意識を取り戻した炭治郎は絶体絶命の状況だったが、それでも諦めず鬼に有効な『藤の花の毒』の付いたクナイを妓夫太郎に刺し、頸を狙う。そして死んでいなかった字髄も復活し、炭治郎に助力する。堕姫はそれを阻止しようとするが、善逸がそれを食い止めた。

善逸は、強力な技のために2回しか使えない『霹靂一閃 神速』を使い堕姫の頸に迫った。そして伊之助も復活し、同時に堕姫の頸を狙う。そして堕姫と妓夫太郎は同時に頸を落とされた。



―柱 稽 古―
 
→【原作】15巻127話「勝利の鳴動」
 
その後、炭治郎は禰󠄀豆子と刀鍛冶の里へ向かう。そこで上弦の肆である半天狗と、上弦の伍である玉壺が倒される。

その戦いで禰󠄀豆子が太陽を克服する。鬼の首魁である鬼舞辻無惨は、太陽の克服を目的としているため、禰󠄀豆子を総力をかけて狙うことが予測された。それにより柱による鬼殺隊士の稽古『柱稽古』が行われる。

【原作】15巻128話「御教示願う」
善逸は太陽の下に出れるようになり、簡単な言葉を話すようになった禰󠄀豆子を見て、悲鳴をあげた。そして「可愛すぎて死にそう!どうしたの禰󠄀豆子ちゃん喋ってるじゃない!俺のため?俺のためかな?俺のために頑張ったんだね!とても嬉しいよ!俺たちついに結婚かな!?」と一人で盛り上がった。

しかしそれに禰󠄀豆子は「おかえりいのすけ。」と返した。伊之助は善逸が禰󠄀豆子に会う前に、自身の名前を覚えさせていたのだった。それを聞いた善逸は「あいつどこにいる?ちょっと殺してくるわ…。」と言って出て行った。

【原作】16巻135話「悲鳴嶋行冥」
善逸はあまりにも厳しい稽古を弱音を吐きながらこなしていた。そんな時、善逸に一通の手紙が届く。それを見た善逸は表情を変えた。

その後、善逸は人が変わったように訓練に打ち込んだ。その様子を不審に思った炭治郎が声をかけると、善逸は「やるべきこと、やらなくちゃいけないことがはっきりしただけだ。」と話した。炭治郎が「何か手伝えることはないか」と言うと、善逸は「これは絶対に俺がやらなきゃ駄目なんだ。」と話した。



―兄弟子・獪岳との戦い―
【原作】17巻143話「怒り」~146話「誇り」



無惨が鬼殺隊の長である産屋敷耀哉の元へ現れる。耀哉は家族を犠牲にして自爆し、無惨にダメージを与えた。そこに炭治郎や柱が駆け付けるが、一同は『無限城』という異空間に落とされてしまう。
→【原作】16巻136話「動く」~140話「決戦の火蓋を切る」
善逸は一人で無限城の中を進んでいた。そして善逸は鬼と出会う。それは善逸の兄弟子である獪岳だった。獪岳は上弦の壱である黒死牟と出会い、戦うことなく降参した。そして無惨の血を受け入れ鬼となっていた。獪岳は妓夫太郎・堕姫に変わって上弦の陸になっていた。

獪岳は「変わってねえなあ。チビで、みすぼらしい、軟弱なまんまでよ。」と善逸をなじった。それに対し善逸は「適当な穴埋めで上弦の下っ端に入れたのが随分嬉しいようだな。」と返した。そして善逸は「アンタが鬼になったせいで爺ちゃんは腹切って死んだ!」と叫んだ。

善逸の師匠である桑島は、獪岳が鬼になった責任を取り、介錯もつけずに切腹し、苦しみながら死んでいた。それを聞いた獪岳は「爺が苦しんで死んだなら清々するぜ!あれだけ俺が尽くしてやったのに俺を後継にせず、テメエみたいなカスと共同で後継だと抜かしやがったクソ爺だ!」と言い放った。

善逸は「俺がカスならアンタはクズだ!壱の型しか使えない俺と、壱の型だけ使えないアンタ!後継に恵まれなかった爺ちゃんが気の毒でならねぇよ!」と言った。

獪岳は刀を抜き、雷の呼吸で攻撃してくるが、善逸は目にも留まらぬ速さで獪岳を斬りつけて背後を取っていた。
獪岳は鬼の力で強化された雷の呼吸の技を次々と繰り出し、善逸に深手を与えた。その中で善逸は獪岳が人間だった頃のことを思い出していた。

獪岳は「雷の呼吸って壱ノ型が全ての型の基本だろ?壱ノ型だけ使えないってことは結局…なぁ?」「他の型ができた所で大した事ねえよ。」と周りの隊士から言われていた。

善逸は「どんな時もアンタからは不満の音がしてた。心の中の幸せを入れる箱に穴が空いてるんだ。どんどん幸せが溢れていく。その穴に早く気づいて塞がなきゃ満たされることはない。」「爺ちゃんごめん。俺たちの道は分かたれた。」と心の中で呟いた。

そして善逸は『雷の呼吸 漆ノ型 火雷神』を放って獪岳の頸を落とした。獪岳は「畜生!畜生!やっぱりあの爺、贔屓(ひいき)しやがったな!お前にだけ教えて、俺に教えなかった!」と口にした。

それに対し、善逸は「違う。爺ちゃんはそんな人じゃない。これは俺の型だよ。俺が考えた俺だけの型。この技でいつかアンタと肩を並べて戦いたかった…。」と胸の内を述べた。
善逸は意識が朦朧とする中で桑島と再会した。
善逸は「俺がいなかったら獪岳もあんな風にならなかったかもしれない!ほんとごめん!許して!何も恩返しできなくってごめん!爺ちゃんが生きている内に柱にもさぁ…なりたかったんだけど!ごめん!爺ちゃんごめん!」と詫びた。
そんな善逸に桑島は涙ながらに「お前は儂(わし)の誇りじゃ。」と語りかけた。

獪岳の鬼の力で強化された『雷の呼吸』は、一度攻撃を受けた後でもヒビ割れ続ける技となっていた。その為、善逸は戦闘が終わった後でもダメージを受け続けていた。

その時、他の鬼殺隊員や、無惨の敵である鬼の愈史郎が現れ、善逸の手当てをした。


 
―無惨との死闘―
【原作】22巻190話「ぞくぞくと」
    ~23巻203話「数多の呼び水」

 
その後、善逸は伊之助・カナヲと合流を果たす。そして愈史郎の札を貼って姿を消し、無惨と柱たちの戦いに加わった。無惨は善逸たちの姿は見えていなかったが、伊黒が不自然な軌道で攻撃を避けた事や、誰もいない場所から土埃が立つ事で姿が見えない敵がいることに気付いた。無惨はすぐさま攻撃を繰り出して、善逸たちがつけている札を斬り裂いた。

善逸たちが来た事により無惨の攻撃が分散されて、柱たちは多少楽になっていた。柱たちはその隙に赫刀を顕現させ、無惨を攻撃する。しかし、無惨は轟音と大きな振動を発生させて攻撃を繰り出した。一瞬の内に柱や善逸たちは行動不能となってしまう。

善逸たちが倒れた後、炭治郎・伊黒と無惨が死闘を繰り広げる。無惨は珠世の薬により体力の限界が訪れ、追い詰められていた。無惨は大きな衝撃を放って炭治郎たちを負傷させて逃亡しようとする。それを止めたのは伊之助だった。


【原作】23巻197話「執念」~198話「気付けば」
善逸が意識を取り戻した時、伊之助が無惨の腕に喰い付かれていた。善逸は無惨の腕を攻撃し、伊之助を救う。炭治郎はその時、無惨の攻撃を受けて倒れていたが、善逸は心音により炭治郎が生存している事が分かった。

善逸は「炭治郎、生きることだけ考えろ!聞こえるか!お前は死なない!絶対死なない!禰󠄀豆子ちゃんと帰るんだ!人間に戻った禰󠄀豆子ちゃんと!生まれ育った家に帰るんだ!家族みんな待ってる!二人が帰ってくるのを!」と炭治郎を元気づけた。

善逸は『神速 霹靂一閃』『雷の呼吸 漆ノ型 火雷神』を繰り出して無惨にダメージを与えるが、それにより片方の足を潰してしまう。赫刀での攻撃ではない為、無惨の損傷は浅かった。倒れた善逸に無惨が攻撃しようとしたところで伊之助が割って入る。

無惨は炭治郎と伊黒に使った衝撃波を再び放ち、伊之助を負傷させた。さらに無惨が攻撃を加えようとした時、今度は炭治郎が割って入るが、連続して攻撃を繰り出している途中で血を吐いて足が止まってしまう。

伊之助と炭治郎が互いに攻撃を止めないように無惨を攻め立てる中、善逸は「立て!立て早く!攻撃が途切れたら無惨は逃げる!どんな一撃でもいいから放て!無惨を削れ!頼む、動いてくれ俺の体!じいちゃん頼む!じいちゃん、じいちゃん、じいちゃん!俺の背中を蹴っ飛ばしてくれ!」と念じ、『霹靂一閃』を放った。

炭治郎は『日の呼吸 陽華突』を繰り出し、無惨に日輪刀を突き立てて壁に押し当てる。そこに復活した甘露寺、伊黒、実弥も加勢し、無惨の動きを封じた。


【原作】23巻199話「千年の夜明け」~200話「勝利の代償」
その時、遂に夜が明けた。

太陽に顔を灼かれた無惨は自身の肉体を守るために肉の鎧によって瞬時に膨れ上がり、巨大な赤ん坊の姿になった。炭治郎は近くにいた義勇を突き飛ばし、赤ん坊の肉の中に呑まれてしまう。

赤ん坊が太陽に灼かれながら逃走しようとすると、生き残っていた鬼殺隊の隊士や柱たちは赤ん坊を止めるべく攻撃を仕掛けた。しかし、赤ん坊は止まらず、地中に潜って逃げ出そうとする。その時、赤ん坊の中にいた炭治郎が日輪刀を握った。すると赤ん坊は血を流して絶叫し、日に灼かれて消滅した。

長きに渡る戦いの終結に鬼殺隊の面々は歓喜の声をあげた。そしてすぐに負傷者の治療が始まる。

善逸は「頼む。俺が死んだら妻の禰豆子に愛してると伝えてくれ。そして俺は勇敢だったと…。最後の最後まで禰豆子を…。」と涙ながらに治療している隊員に話し、「妻じゃないだろ…。」「ずっと喋ってるじゃんコイツ…。」とツッコまれていた。

治療を受けていた善逸は義勇の叫び声を聞きつける。


【原作】23巻201話「鬼の王」~203話「数多の呼び水」
義勇は「炭治郎が鬼にされた!太陽の下に固定して焼き殺す!人を殺す前に炭治郎を殺せ!」と叫んでいた。無惨は死ぬ間際に全ての血と力を注ぎ込んで炭治郎を鬼にし、炭治郎に鬼殺隊を滅ぼさせようとしていたのだった。

義勇は炭治郎を太陽で灼き殺そうとしていたが、炭治郎は太陽を克服し、陽光灼けを止めた。善逸が隠に支えられながら炭治郎が暴れている場所に向かうと、炭治郎は理性を失くし、義勇や伊之助に攻撃を加えていた。それを見た善逸は「嘘だろ…炭治郎。もうみんな戦えないよ、ボロボロで。こんなのあんまりだ。禰豆子ちゃんどうするんだよ、炭治郎。」と言って涙を流した。

その時カナヲが現れ、炭治郎の攻撃を受けながらも、鬼を人間に戻す薬を投薬することに成功する。カナヲはしのぶからその薬を託されていたのだった。その薬によって炭治郎は人間へと戻り、意識を取り戻す。

伊之助が炭治郎に「お前にやられた傷なんか…たいしたこと…ねえぜ…。」と強がる一方、善逸は「俺は…一生かけて…償ってもらうから…。妻の分も…。」と話した。そして一同は涙ながらに喜びを分かち合った。



― 戦 い の 後 ―
 
無惨との戦いから三ヶ月後、善逸達は蝶屋敷にいた。炭治郎の左腕と右目は機能しなくなっており、多くの人々が毎日見舞いに訪れ、善逸は部屋が狭くなる事に不満を漏らしていた。

無惨との戦いが終結した事で鬼殺隊は解散となった。善逸は炭治郎、禰豆子、伊之助と共に戦死した仲間達の墓、全てに花を供え、炭治郎の家へと向かった。そして4人は炭治郎達家族の墓に手を合わせ、家を掃除して風呂に入り、皆で笑いながらご飯を食べた。
その後、善逸と禰豆子は結婚したようで、最終回で描かれた現代では善逸と禰豆子の子孫である我妻燈子、我妻義照が登場している。燈子が善逸のことを「ひいおじいちゃん」と呼んでいることから、2人は善逸、禰豆子のひ孫であることがわかる。