ミステリと言う勿れ




井原香音人かねと(早乙女太一)と下戸陸太おりとろくた(岡山天音)は、小さな子供に「助けてあげる」と囁いている。

久能整(菅田将暉)はライカ(門脇麦)との待ち合わせの前にレストランに行く途中、患者の下戸陸太おりとろくた(岡山天音)とぶつかる。整は謝るのだが、陸太は土下座を強要。土下座なんてただの動作で気持ちがこもってなくてもほかのことを考えていてもできることだけどそれでいいのか、まだ治療費を払えと言われるほうがわかるなどとまくしたてる整に陸太は呆れる。

近くにいた患者たちによれば、陸太はいつも誰かにからんでトラブルを起こしているという。
 
正面、右奥の大きな鉢の土の中を見よ

おそるおそるビニール袋を出すと、バッグが入っていた。真波(阿南敦子)が来て騒ぎ出す。宗像冴子という患者が温室にたびたび来てくれた。娘とは疎遠で、一度も見舞いに来ない。バッグもいらないと言われた。中には大金が入っていた。罪の意識から、隠していた。

冴子が真波に優しかったからといって、自分の子供にいい親だったとは限らない。他人には優しいけれど自分の子供には厳しい親もいる。それがまた子供を追い詰める…と整。

中の中を見よ

暗号の通りにバッグの中をよく見ると、内ポケットに真波宛の手紙が入っていた。冴子はもともと世話をしてくれた真波への感謝としてバッグとお金を遺したのだった。しかし冴子は誤嚥性肺炎であっという間に亡くなってしまい、それを真波に告げることはできなかったのだ。

最初から預かっていたことにすればいいよね?という真波に整はスッキリしたほうがよくないか、と自身の体験を話す。真波は病院お抱えの弁護士に相談することにした。
 
桜の木に手紙がついていた。中には変なマークが描かれた壁の写真が入っていた。その住所に行くと火事の後だった。香音人(早乙女太一)と、下戸陸太がいた。

現場には線香のような香りが漂い、青砥はまさかな、とつぶやく。整の元にはライカが来て、もう一枚の写真を渡す。炎の象形文字は前にも見たことがあり、そこも放火されたから関係があるのかも、と言う。

「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」の話をすると整に、桜は傷つけちゃダメで梅は傷つけてもいい、それは花を見たい人間の都合、でも桜には悪いことをした、もうしないと謝る。ただ、この桜が咲く頃は…と言いかけたライカは、途中を暗号で語り、最後にでも千夜子は見るだろうと言う。千夜子はライカの妹だ。

温室の足湯で話そうというライカと温室に行くと、陸太が急に苦しみ出した。赤いものを見ると発作が起きるらしい。アップルパイを食べてみたいけど、怖くて食べられないと陸太。騒ぎになっているうちにライカはどこかに消えてしまう。整は桜の木を見ながら、ライカの暗号を確かめる。「私はこの世にいないけどな」という言葉に、「助けを求めているのかもしれない」という天達教授の言葉を思い出す。

陸太は天使=香音人に会い、整のことを報告する。厄介なら早めに片付けよう、と香音人。警察では青砥たちが連続放火事件について調べていた。容疑者に浮上したが証拠不十分で逮捕できなかった少年がいた。

井原香音人
母子家庭に育ち、10歳のときに火事で母を亡くした。火元は母親の趣味だった香炉の炭。
14歳のとき、ボヤ程度の放火事件を起こし、数年後に目撃者と遭遇して医療少年院に入り、半年前に出所した。その頃から4件ほど炎の天使によると思われる放火事件が起きていた。

整は池本と風呂光に遭遇。『炎の天使』という都市伝説について調べていた。親に虐待された子供たちが塀にマークを描くと天使が放火して親を焼き殺してくれるというのだ。

整は、天使は子供に直接接触して子供に決めさせている…と考える。

ライカと足湯で話す整は、放火事件について聞くが、ライカはそれに答えず、明日のクリスマスイブにプレゼント交換しようと提案し、去っていく。入れ替わりにやってきた陸太は、整に探りを入れる。

下戸陸太
あだなはカエル。苗字がゲコと読めるからゲコゲコガエルのカエルと呼ばれていた。相手はからかっていたのだろうが、カエルは嫌いじゃなかったから気に入っていた。

カエルは子供と親の形があんなに違う。水の中は子供たちだけの世界。生まれ変わったら、クジラになっていつも水の中がいい。でも名前に陸が入ってるから無理だ?

整は、知ってますか?シャチは鯨の子供の下アゴだけ食べたりするというウンチクを語る。

また江戸時代は放火が重罪で、疑いをかけられるとひどい拷問を受けていた。ヤギに足の裏を舐めさせる。足の裏に塩を塗って舐めさせる。ヤギは皮膚をこそげとって骨が見えても舐め続ける。

ひどい話ばかりする整に「性格が悪いと言われないか?」と陸太。
 
生まれて初めてのプレゼント交換。何をあげたらいいのか真剣に悩む整。

翌日、桜の木の下に来たライカは、ツリーのオーナメントをくれた。イチゴみたいな赤いもので、携帯にでもつけなと言う。整は「印象派展」で買った、ルソーのポストカード「蛇使いの女」を渡す。美術展に行ったことがないというライカを、今度行こうと誘うが、ライカはいつも無断で1時間だけ外出しているから難しいと答える。でもいつか行けたらいいな…。ライカはまた午前3時にと言って戻ってしまう。
 
病院の隅で、炎のマークを描いている少女がいた。陸太がやってきて、その子が母親と再婚相手に虐待を受けている。医者や看護師もわかっているが、どうにもできないから天使を呼ぶ。それのどこが悪いんだと語る。

詳しいんですね、と整が言うと、病院にいるといろいろ見ると陸太。温室の真波からクリスマスイベントの手伝いを頼まれたから夜11時に倉庫に来いと整に伝える。

整はここ10年ぐらいでゲコと読める名字の家で起きた放火事件についてネットで調べる。7年前、下戸という家に強盗が入り、陸太という息子だけが生き残ったという事件があった。

夜、整が倉庫に行くと陸太だけが待っていた。クリスマスグッズは赤いモノが多いのに、色付き眼鏡をかけていないことを不審に思った整が帰ろうとすると、陸太が襲いかかる。倒れこんだ整は、昼間見た虐待夫婦が手足をテープで拘束されている姿を目の当たりにする。

アパートに放火するとほかの家に迷惑がかかる。お前、ここで一緒に燃えてくれよな。