-不死川実弥-

***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 


不死川実弥(しなずがわさねみ)は鬼殺隊における最高位の精鋭「柱」の一人。風の呼吸の使い手であり、「風柱」の称号を持つ。
血走った眼に、身体中にある傷が特徴。不死川玄弥の実の兄であるが、不死川実弥が「俺には弟なんていねェ」と発言するほどに仲が悪い。これは二人の過去に原因がある。

産屋敷邸で鬼化した竈門禰豆子の処遇を巡る裁判の際、箱の外から彼女を刺して傷を与え、自らの腕を引き裂き、血を流させ、禰豆子を挑発して鬼の醜さを証明しようとしたが、彼女が強靭な意志でそれを拒絶したため、逆に禰豆子が人を喰わない鬼である事を証明する形となり、その場はやむを得ず引き下がった。

戦闘経験豊かで、上弦の壱である黒死牟の技にも食らいついた。黒死牟が使う『月の呼吸』は不規則な斬撃が付き纏い、経験が浅い時透は一刀で腕を斬り落とされた。

特殊体質であり、稀血の中でも更に希少な血を持つ。鬼がこの血の匂いを嗅ぐと酩酊する。黒死牟との戦いで痣を発現させた。不死川実弥の痣は風車のような紋様が右頬に浮かび上がる。



- 無 限 城 編 -
 
【原作】16巻第137話「不滅」~第139話「落ちる


鬼殺隊の長である産屋敷耀哉の元へ、悪の元凶である鬼舞辻無惨が現れる。耀哉は無惨の到来を予期しており、自爆をする事で無惨に大きなダメージを与えた。

無惨と敵対する鬼、珠世と愈史郎は耀哉に協力を持ちかけられており、鬼殺隊の本部へと来ていた。珠世は負傷した無惨に『鬼を人間に戻す薬』を投与する。

そして無惨を倒すべく柱や炭治郎が集結するが、無惨は異空間・無限城を呼び出し、一同は無限城へと落とされてしまう。
 
【原作】19巻第166話「本心」

玄弥は無限城で上弦の壱である黒死牟と遭遇し、両腕と胴体を切断される。そして頸を切られようとした瞬間、実弥が助けに入る。
玄弥を背に、実弥は「…テメェは本当にどうしようもねぇ弟だぜぇ。なんのために俺がァ母親を殺してまでお前を守ったと思ってやがる。」と言った。

その時、玄弥は炭治郎が柱稽古の時に話していた言葉を思い出す。炭治郎は「風柱のお兄さんのことなんだけど、あの人はさ玄弥。鬼殺隊に入ったことをすごく怒ってはいた。でも憎しみの匂いは少しもしなかったんだ。だから怯えなくていいんだよ。伝えたいことがあるなら言ったって大丈夫だよ。実弥さんは玄弥のことがずっと変わらず大好きだから。」と言っていた。
実弥は続けて「テメェはどっかで所帯持って、家族増やして爺になるまで生きてりゃあ良かったんだよ。お袋にしてやれなかった分も、弟や妹にしてやれなかった分も、お前が、お前の女房や子供を幸せにすりゃあ良かっただろうが。そこには絶対に俺が鬼なんか来させねぇから…。」と話した。それを聞いた玄弥は涙を流し、「ごめん兄ちゃん…ごめん…。」と詫びた。

そして黒死牟と向き合った実弥は「よくも俺の弟を刻みやがったなァ!糞目玉野郎ォオ!許さねェ!許さねェ!許さねェェ!」と叫び、刀を向けた。
 
【原作】19巻第167話「願い」~第168話「百世不磨」

時透の腕を一刀で切り飛ばした黒死牟に食らいつく。黒死牟には「やりおる…。肉体的にも技の…全盛と見た…。」と評される。しかし、『月の呼吸 陸ノ型 常夜孤月・無間』で重傷を負わされる。

黒死牟はこれで勝利を確信したが、実弥はそれでも立ち上がり刀を振るった。実弥の血は稀血(数少ない人間が持っている血。鬼がその人間を喰らうと、通常の人間50人に値するほどの力を得る)の中でもさらに希少な血であり、その血を前にした黒死牟は脈拍が上がり、足元がおぼつかなくなり、酔ったような状態になった。

その後、岩柱の悲鳴嶼行冥が戦いに参加し、傷の治療をした後、2人で黒死牟と戦う。その時、実弥は頬に風車のような痣を発現させた。
 
【原作】19巻第169話「地鳴る」~20巻第176話「侍」

悲鳴嶼と絶妙な連携を見せて黒死牟を追い詰めるが、黒死牟は刀を伸ばして大幅に間合いを拡大する。それにより実弥は2本の指を切り落とされる。そして黒死牟の怒涛の攻撃に対し回避に専念せざるを得なくなるが、それでも攻撃を避けきれず、足と背中を負傷する。

そして黒死牟が『月の呼吸 拾ノ型 穿面斬・蘿月』を繰り出し、絶体絶命の危機を迎えるが、間一髪のところで時透に助けられた。

その後、悲鳴嶼、時透、玄弥と一丸となって黒死牟に立ち向かう。脚を切り落とされながらも黒死牟の懐に飛び込んだ時透と、黒死牟の髪と刀を喰った玄弥により黒死牟は動きを封じられる。黒死牟は体中から刀を生やしてその拘束を解くが、死力を振り絞った時透と玄弥により再び動きを封じられる。

あまりの強度に実弥だけでは黒死牟の頸を断つことはできなかったが、悲鳴嶼が振り下ろした鉄球に実弥が刀を打ち付けたことにより、黒死牟の頸を落とすことに成功する。

実弥は黒死牟が死んだ後でも、意識を失いながらも戦い続けようとしており、悲鳴嶼によって止められる。そしてそのまま気絶した実弥は、黒死牟によって致命傷を負わされた玄弥の隣に寝かせられた。
 
【原作】21巻第169話「地鳴る」~第176話「侍」

しばらくして目を覚ました実弥は、死にゆく弟の姿を見て絶叫する。玄弥の体は死にゆく鬼のように体が崩れていた。

実弥は絶望しながらも玄弥に声を掛けた。しかし、玄弥の崩れゆく体をどうすることもできなかった。玄弥が「兄ちゃんごめん。あの時兄ちゃんを責めてごめん。迷惑ばっかりかけてごめん。守ってくれてありがとう。」と力無く言うと、実弥は「迷惑なんかひとつもかけてねぇ!死ぬな!俺より先に死ぬんじゃねぇ!」と叫んだ。

そして玄弥は「兄ちゃんが俺を守ろうとしてくれたように、俺も兄ちゃんを守りたかった。同じ気持ちなんだ。兄弟だから。つらい思いをたくさんした兄ちゃんは幸せになって欲しい。死なないで欲しい。俺の兄ちゃんはこの世で一番優しい人だから」と最後に自身の願いを実弥に話した。

実弥は号泣しながら「ああああ頼む神様!どうかどうか弟を連れて行かないでくれ!お願いだ!」と懇願した。しかし玄弥は「ありがとう兄ちゃん。」と残して消えていった。
 

―無限城編-無惨との死闘―
~無限城編~
 
【原作】21巻第185話「匂いのない世界」
~22巻第189話「心強い仲間」

実弥は悲鳴嶼と共に無惨と戦う柱たちの元へ現れる。無惨は『鬼を人間に戻す薬』を分解していた。実弥は無惨に謎の液体を浴びせて火を付けた。無惨は「小賢しい真似を!」と激昂するが、実弥は「テメェにはこれくらいが似合いだぜぇ。ブチ殺してやる。この塵屑野郎。」と鬼の形相で吐き捨てた。

それから戦闘を続けるが、無惨の異常な攻撃範囲と攻撃速度に押され、柱たちは防戦一方になる。そして甘露寺は無惨の攻撃を受けて戦線離脱してしまう。

戦いの中で柱たちは無惨の攻撃を受けていた。無惨は攻撃の際に自身の血を対象の身体の中に入れており、それにより柱の細胞は変化を始めていた。夜明けまではまだ一時間十四分もあったが、柱たちは五分も経たずに死につつあった。

その時、一匹の猫が現れて、柱たちに注射のようなものを打ち込んだ。それは珠世が作った無惨の血の血清だった。それにより柱たちの細胞は落ち着き、再び戦いを始める。
 
【原作】22巻第190話「ぞくぞくと」
23巻第198話「気付けば」
戦いの中で伊黒が赫刀を顕現させ、さらに善逸・伊之助・カナヲが応援に駆けつける。善逸たちが来たことにより無惨の攻撃が分散され、柱たちに少し余裕ができた。

実弥は義勇に「冨岡ァァァ!受けろォォ!」と叫んで斬りかかった。冨岡が実弥の刀を日輪刀で受けると、2人の刀が赫刀に変わった。その時、鎹鴉が「夜明ケマデ一時間三分!」と告げた。実弥は「余裕余裕!糞味噌にしてやらァァァ!」と笑いながら叫んだ。

柱や善逸たちは無惨と善戦していた。実弥は伊之助が持ってきていた愈史郎の札を身に付けた。実弥は伊之助たちの姿を確認し、札を付けた者同士は姿が見える事を理解した。実弥は札によって姿を消し、無惨に攻撃を仕掛けた。

しかし、無惨は轟音と振動を起こしながら攻撃を繰り出す。実弥を含める柱たちは一瞬のうちに気絶させられて戦闘不能となる。

その時、意識を取り戻した炭治郎が現れ、無惨と戦いを繰り広げる。そこに伊黒、さらに善逸と伊之助も加勢する。無惨は体力の限界が近かった。

珠世が無惨に投与した薬には鬼を人間に戻すだけではなく、『老化』『分裂阻害』『細胞破壊』の効力があったのだった。それを知った無惨は逃亡しようとするが、炭治郎が『日の呼吸 陽華突』を繰り出して無惨を壁に押し当て、一秒でも長くそこに無惨を縫い止めようとした。

無惨が炭治郎に攻撃を仕掛けて逃亡しようとする中、実弥と甘露寺と伊黒が加勢し、無惨の動きを封じる。実弥が「夜明けだ!このまま踏ん張れェェェ!」と叫んだ時、遂に夜が明けた。
 
【原作】23巻第199話「千年の夜明け」

日が差した瞬間、無惨は強力な衝撃波を放ち、実弥や伊黒は吹き飛ばされた。炭治郎は衝撃波により左腕を失っていたが、踏ん張って日輪刀を赫刀に変えようとしていた。そこに義勇が現れ、炭治郎の日輪刀を共に握って刀を赫刀に変えた。

無惨は吐血しつつも、日光から自身の肉体を守るために肉の鎧によって瞬時に膨れ上がり、巨大な赤ん坊の姿になった。炭治郎はその赤ん坊の中に呑まれてしまう。赤ん坊は日に灼かれながらも逃走を始めた。

生き残っていた鬼殺隊の隊士たちは無惨を逃さないように攻撃を始めた。赤ん坊が隊士たちに攻撃しようとした時、実弥が赤ん坊の腕を斬り落とした。だが実弥は満身創痍であり、その場に倒れ込んでしまう。実弥は「しぶてェんだよ糞がァアア!さっさと塵になりやがれェ!」と叫んだ。

悲鳴嶼、伊黒、義勇も赤ん坊を止めようとするが、赤ん坊は地中に潜って逃げ出そうとする。その時、赤ん坊の中にいる炭治郎が日輪刀を握った。赤ん坊からは血が溢れ、絶叫しながら日に灼かれて消えていった。

鬼殺隊の面々は無惨を倒した事で歓喜の声をあげた。そしてすぐに負傷者の治療が始まった。
  
【原作】23巻第200話「勝利の代償」

気絶していた実弥は暗闇の中にいた。暗闇の向こうでは玄弥が弟妹たちと遊んでいるのが目に入った。実弥は暗闇に母親の姿を見つける。

実弥が「お袋?何で向こうに行かねぇんだ。」と言うと、母親は「私はねぇ、そっちには行けんのよ。」と答えた。実弥は手を引いて母親を玄弥たちの所へ連れて行こうとするが、母親は「駄目なのよ…。みんなと同じ所へは行けんのよ…。我が子を手にかけて天国へは…。」と言って泣いた。

それを聞いた実弥は「…わかった。じゃあ俺はお袋と行くよ。俺があんまり早く行ったら玄弥が悲しむだろうし。お袋背負って地獄を歩むよ。」と言い、笑って母親の手を取った。
その時、父親が実弥と母親の手をほどき、「放せ。志津はオレと来るんだ。」と吐き捨てた。父親に突き飛ばされた実弥は「テメェッ…!糞親父っ!糞野郎お袋を放せ!」と叫ぶと、父親は「お前はまだあっちにもこっちにも来れねェよ。俺の息子だってことに感謝しろ。特別頑丈だ。」と言った。

治療を受けていた実弥は「くそが…。」と言いながら目を覚ました。
 
【原作】23巻第204話「鬼のいない世界」

無惨との戦いから三ヶ月後、実弥は義勇と共に産屋敷家当主である輝利哉の呼び出しを受けていた。

輝利哉は「今日が最後の柱合会議だ。実弥、義勇、柱は二人だけになってしまったね。他の子供たちも大勢いなくなってしまった。けれど私たちは鬼を滅ぼすことができた。鬼殺隊は今日で解散する。」と話し、補佐を務める妹のくいな・かなたと共に「長きに渡り身命を賭して世の為人の為に戦って戴き尽くして戴いたこと、産屋敷家一族一同心より感謝申し上げます。」と頭を下げた。

それを聞いた実弥と義勇は「顔を上げてくださいませ!礼など必要御座いません。鬼殺隊が鬼殺隊で在れたのは、産屋敷家の尽力が第一。」と輝利哉たちに頭を上げるように促す。
義勇がそれに続けて「輝利哉様が立派に務めを果たされたこと、御父上含め産屋敷家御先祖の皆様も誇りに思っておられることでしょう。」と話すと、輝利哉は「ありがとうございます…っ」と言って涙を流した。
その後、実弥は蝶屋敷で禰豆子と顔を合わせる。
悪かったな、色々…。無惨倒した後も一悶着あったらしいが、俺はその間寝てたしよ…。」と侘びる実弥に対し、
禰豆子は「あははっ!私なんて二年くらい寝てたことありますよ。それに比べたら全然大したことないです!お兄ちゃんも戦いの後、一ヶ月くらい殆ど寝てたし。私、寝るの好きです。」と言って笑った。

それを聞いた実弥は「寝るの好きだ。腹減らねぇから!」と言って笑う玄弥を思い出していた。優しい表情を浮かべた実弥は禰豆子の頭を撫で、「元気でなァ。」と言って立ち去っていった。



-不死川実弥の過去-
【原作】13巻第115話「柱に」

不死川兄弟には、母親と他に5人の兄妹がいた。
父親はろくでなしで、家族によく暴力を振るっていた。父親は外でも恨みを買っており、ある日、誰かに刺されて死んだ。

母親は朝から晩までずっと働いていた。実弥は玄弥に「家族は俺たち二人で守ろう。親父は刺されて死んじまった。あんなのは別にいない方が清々するけど、父親がいねぇとなると皆心細いだろうから。これからは俺とお前でお袋と弟たちを守るんだ。いいな?」と話した。玄弥が「これからは、じゃなくて、これからも、だよな。」と話すと実弥は笑った。
 
ある夜、帰りが遅い志津を実弥が外に捜しに出ている間に、玄弥達に正体不明の獣のような影が襲いかかる。弟妹はたちまち血の海に倒れ、戻ってきた実弥はその惨状を見るなり鉈を手にしてその獣と共に窓から屋外に飛び降り、無我夢中で応戦するが、その獣の正体とは鬼となり果てた志津であった。

そして夜明けの陽が昇ったところで、医者を呼びに外へ出た玄弥と遭遇してしまう。自身の血と返り血を浴びて刃物を手に持ち、血まみれのまま、母の死体の前で呆然と立ち尽くす兄と、倒れ伏す母親の様子を見て動揺した玄弥は、実弥を「人殺し」と罵倒する。そして玄弥に抱きかかえられた志津の身体は、日の光を受けて崩れていった。
家族の為に暗闇の中で必死に戦い倒した獣の正体は、日が登って初めて母親であった事が知れ、最愛の母親を自分が殺してしまった事に 幼い実弥は目を見開き、血まみれの姿で刃物を持ったまま、ただ呆然と放心状態で立ち尽くしつづけていた。また、二人の顔に走る大きな傷痕は、この事件の時に付いたものである。
その後、実弥は直ぐに生まれ育った家を離れて残された家族である玄弥を守り、この世から鬼を殲滅する為に鬼狩りを始めた。



-粂野匡近との出会い、柱への昇進-

鬼となった母親を殺害した後、実弥は呼吸も日輪刀も知らないまま、多くの武器を装備して、鬼を日の光で灼き殺していた。

そんな時、鬼殺隊に所属していた粂野匡近と知り合う。そして粂野から育手を紹介してもらったことで、実弥も鬼殺隊へ入隊した。粂野のおせっかいな性格に当初はうんざりしていた実弥であったが、共に戦うなかで粂野と無二の親友となっていく。

当時の下弦の壱・姑獲鳥(うぶめ)を粂野と一緒に倒すが、その戦いで受けた傷によって粂野は戦死。実弥だけが十二鬼月を倒した功績により柱となる。
その後、柱合会議にて実弥は鬼殺隊の長である産屋敷耀哉と初めて顔を合わせる。実弥は、自ら刀を取らず、鬼殺隊士に命令するだけの耀哉が好きになれず「いいご身分だなァ、おいテメェ。産屋敷様よォ。」と口にする。すると耀哉は素直に「ごめんね。」と謝罪した。

そして、刀を振ってはみたが体がそれに耐えられなかった事、自身の代わりはすでにおり、自身も駒の一つに過ぎない事、そして実弥が柱として人の命を守ることだけが願いだと明かした。

その耀哉の言葉に実弥は、親が子供に向ける溢れるような慈しみを感じ、言葉が出なくなった。そして耀哉は「匡近が死んで間も無いのに呼んでしまってすまなかったね。兄弟のように仲良くしていたから尚更つらかったろう。」と粂野の名を出した。

耀哉は当主になってから亡くなった隊員の名前と生い立ちを全て記憶していた。耀哉は、粂野と実弥の遺書が同じような内容だという事、粂野が失った弟と実弥を重ね合わせていた事を話し、実弥に粂野の遺書を渡した。
遺書には「大切な人が笑顔で、天寿を全うするその日まで幸せに暮らせるよう、決してその命が理不尽に脅かされることがないよう願う。たとえその時、自分が生きてその人の傍にいられなくとも、生きていて欲しい。生き抜いて欲しい。」と書かれていた。

実弥はその遺書を読んで、玄弥の事を思い出しながらも、涙を流した。また、粂野には弟がいたが、鬼によって殺されていたと実弥は知る。兄弟子であることを強調し、実弥の世話をやいていたのは、粂野が実弥に弟の姿を重ね合わせていたためであった。