-竈門 炭治郎-


***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 



―日の呼吸の真髄と十三個めの型―

【原作】22巻192話「廻る縁」

炭吉の記憶の中で、縁壱はすやこから「剣の型が見たい」とせがまれて『日の呼吸』の型を全て見せた。炭治郎の動きは縁壱の無駄のない動きを見た事で洗練されていた。

炭吉はその縁壱の動きをひとつも取りこぼさずに瞳に焼き付けた。縁壱の呼吸の型は息を忘れるほどに綺麗だった。剣を振るう時、縁壱は人ではなく精霊のように見えた。炭治郎は『日の呼吸』が『神楽』として伝わっていた理由を理解した。

縁壱の型を見て、すやこや子供達は喜んではしゃいだ。縁壱はそれを見て照れ臭そうにうつむいた。炭吉は家を去ろうとする縁壱に「また遊びに来てください。」と声をかけた。すると縁壱は自身の耳飾りを炭吉に渡した。炭吉は縁壱がもうここへ来ない事を悟った。

炭吉は遠ざかっていく縁壱に「縁壱さん!後に繋ぎます!貴方に守られた命で…俺たちが!貴方は価値のない人なんかじゃない!何も為せなかったなんて思わないでください!そんなこと絶対誰にも言わせない!俺がこの耳飾りも、日の呼吸も、後世に伝える!約束します!」と叫んだ。縁壱は笑顔を浮かべて「ありがとう。」と言い、炭吉たちに手を振った。

炭治郎は「縁壱さん。俺の方こそ、俺たちの祖先を助けてくれてありがとう。貴方がいなければ俺たちは生まれていません。貴方が信じて逃がした珠世さんの協力で無惨を追いつめることができました。貴方が見せてくれた日の呼吸で俺は戦うことができます。」と心の中で縁壱に礼を述べた。
縁壱が炭吉たちに見せた型は全部で十二個だった。炭治郎は十三個めの型について気になっていた事があった。それは、日の呼吸に『円舞』と『炎舞』という同じ音の技がある事、炭治郎の父が「正しい呼吸ができれば炭治郎もずっと舞える」と言った事、父が夜明けまでずっとヒノカミ神楽を踊っていた事、だった。

炭治郎は複数の脳と心臓を持つ無惨の身体を見てその答えを知った。日の呼吸は十二の型が繋がっており、それを繰り返す事で円環を成して十三個めの型になるのだった。

炭治郎は「無惨の攻撃をくぐり抜け、脳と心臓を斬り続けるんだ。夜明けまで。十二の型は円舞と炎舞で全て繋がる。途方も無い。きっと俺は地獄を見るだろう。縁壱さんや父さんのような才覚が俺にはない。それどころか命が夜明けまでもつかどうかわからない。さらに無惨の逃亡をどう阻止するか。自信を失う理由がよくわかる(かつての炎柱の姿を思い浮かべている)。縁壱さんすらできなかったことが自分にできるのだろうか?それでも俺は今自分にできることを精一杯やる。心を燃やせ。負けるな。折れるな。」という思いを胸に無惨に斬りかかった。

無惨は炭治郎が縁壱と重なって見え、「亡霊が…!」と言って憤怒の形相を浮かべた。無惨は柱たちを倒した時と同じく轟音と大きな振動を起こした。その瞬間に炭治郎は出血した。炭治郎は無惨の攻撃が見えていた。無惨は、背中の九本の管や両腕よりも速度が上回る管を腿から八本出して攻撃していた。

炭治郎は『円舞』『烈日紅鏡』『火車』を続けて繰り出した。「やっぱり繋がる。そういうふうにできてる。そうですよね?縁壱さん。繋ぎます。次は十二の型全てを。」と心の中で告げた。



―無惨との死闘―

【原作】22巻193話「困難の扉が開き始める」
炭治郎の日輪刀は赫刀へと変わっていた――。

炭治郎が強くなっていたのは、死の淵まで行ったことでこれまで不必要だった感覚や力の扉を開いたからだった。炭治郎は六つの日の呼吸の型を繋げることができた。しかし炭治郎の肺や心臓、四肢は悲鳴を上げており、動きが鈍り始めていた。炭治郎は「集中しろ。今この瞬間の一秒以外、考えるな。剣が鈍る。手足が鈍る。一秒だ。一秒を繋げ。夜明けまでの一秒を繰り返せ。」という思いで刀を振るった。

普通であれば動きが鈍った炭治郎は無惨の攻撃を受けてもおかしくなかった。炭治郎が生きながらえることができたのは、しのぶと珠世が無惨に投与した薬が作用して無惨を老化させていたからだった。一分で五十年老化する。無惨を九千年分も老化させていた。その時、鎹烏が「夜明ケマデ五十九分!」と告げた。炭治郎は全ての日の呼吸の方を繋げる事に成功する。

【原作】22巻194話「灼熱の傷」
正確に無惨の心臓と脳を斬るために、集中して透き通る世界に入ろうとした炭治郎だが、突然視界が狭まってしまう。炭治郎は酸欠に陥っていたのだった。匂いを嗅ぎ分けて攻撃を避けようとした炭治郎が足を滑らせてしまったその時、彼は伊黒に助けられる。

伊黒の顔を見た炭治郎は衝撃を受けた。伊黒は顔を斬り裂かれ両目を潰されていたのだった。炭治郎が「伊黒さん両目が…!俺を庇ったせいで!」と言うと、伊黒は「違う!もっと前にやられた!お前は人のことばかりうるさい!」と返す。炭治郎は伊黒をサポートしようとしたが、伊黒は「お前の介添えなど必要ない。俺には鏑丸がついてる。」と断った。伊黒は鏑丸のサポートにより無惨の攻撃を避けていた。

炭治郎は伊黒と一緒に無惨を攻め立てるが、それでもまだ劣勢だった。「みんなの攻撃が無惨を弱らせているはずなんだ。無惨の匂いは段々変化してる。それなのにまだこの強さ…!酸欠を免れるのが精一杯で透明な世界に入れない。二対一でもまだきつい!なんとか現状を打破しないと。伊黒さんに何度も助けてもらった。俺も伊黒さんを助けなきゃ…。」と炭治郎は思った。

その時、炭治郎は無惨の身体に無数の傷が浮かび上がるのを目にする。炭治郎は「傷…?古傷だ。そうかあれは縁壱さんがつけた傷だ。治癒しなかったんだ。何百年もの間、無惨の細胞を灼き続けた。あの傷はそのまま無惨の脆い所なんだ!縁壱さんが俺たちを導いてくれる…!」と理解した。

【原作】22巻195話「めまぐるしく」
無惨の身体に浮かび上がった傷は動いており、炭治郎はその傷の場所に心臓と脳がある事を確信した。それにより、『透明な世界』が感知できなくても的確に急所を狙うことが可能となっていた。炭治郎は「伊黒さんの目をどうにかしなきゃ!鏑丸の手助けだって限界がある。」と考え、愈史郎の札を貼って鏑丸と伊黒の視界を共有させる事を思いつく。

その時、鎹烏が「夜明ケマデ四十分!」と叫んだ。それを聞いた無惨は一目散に逃走を始める。無惨は誇りを持った侍でも、感情で行動する人間でもなく、生きることだけに固執している生命体であるため、逃走する事に一切の抵抗もなかった。

死亡した隊士たちを踏みつけにして逃げる無惨を見た炭治郎は怒りを抱き、周辺に転がっていた日輪刀を投げて無惨の足を止め、その隙をついた伊黒は無惨の喉元を突き刺す。さらに愈史郎の札を持った炭治郎も無惨に追いつき、反撃を受けながらもなんとかその札を伊黒と鏑丸に渡して視覚を共有させることに成功する。

炭治郎と伊黒は無惨を挟み込んで逃さないように戦いを続けた。無惨は体力の限界が近づき、息切れをするようになっていた。

【原作】23巻197話「執念」
炭治郎は血鬼術で神経系を狂わされているならば日輪刀で治せるのではないかと考え、自身の身体に日輪刀を突き刺した。それにより復活した炭治郎は善逸と伊之助に加勢し、攻撃を止めないように無惨を攻め立てる。炭治郎は『日の呼吸 陽華突』を繰り出して無惨を壁に押し当て、一秒でも長くそこに無惨を縫い止めようとした。

無惨が炭治郎に攻撃を仕掛けようとする中、甘露寺が現れ無惨の左腕を引きちぎる。さらに実弥も現れ、無惨の右腕と触手を斬り落とした。次の瞬間、無惨の顔が割れ、巨大な口が出現して炭治郎に喰いつこうとすると、伊黒が間に入って炭治郎を守った。その時、遂に夜が明けた。

【原作】23巻199話「千年の夜明け」
夜明けの到来を知った無惨は強力な衝撃波を放った。伊黒や実弥は吹き飛ばされ、炭治郎は左腕を失ってしまう。だが、炭治郎は踏みとどまり「放すな。手を放すな。赤く、刃を赤くするんだ。心を燃やせ。赤くなれ。頼む。」という思いで日輪刀を握りしめていた。その時、背後に現れた義勇が共に炭治郎の日輪刀を握り、赫刀を顕現させた。

無惨は吐血し、更に日光で顔を灼かれた。次の瞬間、無惨は日光から自身の肉体を守るために肉の鎧によって瞬時に膨れ上がり、巨大な赤ん坊の姿になった。炭治郎は義勇を突き飛ばし、赤ん坊の肉に呑まれてしまう。

その後、赤ん坊は日に灼かれながらも逃走しようとする。生き残っていた鬼殺隊の隊士たちや、義勇、実弥、伊黒、悲鳴嶼たちは赤ん坊を逃さないように攻撃を仕掛けた。それでも赤ん坊は地中に潜って逃げ出そうとする。柱や周囲の隊士たちは力が残っておらず、諦めの心を抱いた。

その時、赤ん坊に呑まれていた炭治郎が日輪刀を握った。すると赤ん坊は血を吐き、絶叫した。そして太陽に灼かれた赤ん坊は消滅していった。

【原作】23巻200話「勝利の代償」
無惨の消滅に鬼殺隊の面々は歓喜の声をあげた。そしてすぐに負傷者の治療が行われた。

悲鳴嶼、甘露寺、伊黒は命を落としてしまった。義勇は重傷でありながらも、炭治郎を探して彷徨っていた。そんな義勇の前に鬼殺隊の隊士が「…とっ、とりあえず手当てを!」と立ちはだかる。義勇はその奥に血だらけで座り込む炭治郎の姿を見た。炭治郎は息も脈もなく、死亡していた。

義勇は炭治郎の手を握り「また守れなかった。俺は人に守られてばかりだ…。許してくれ。すまない禰豆子。すまない…。」と呟いた。

【原作】23巻201話「鬼の王」
義勇や隠達が涙を流す中、炭治郎は目を見開いた。そして近くの隠に攻撃を行った。義勇は咄嗟に隠を救う。無惨は消滅の間際に全ての血と力を注ぎ込み、炭治郎を鬼にしていた。無惨は、太陽を克服した禰豆子の血縁であり、縁壱以外で唯一『日の呼吸』を使えた炭治郎が鬼の王になると信じ、炭治郎に鬼殺隊を滅ぼさせようとしていた。

炭治郎が隠に襲いかかろうとすると義勇が瞬時にその隠を救い、炭治郎は次の瞬間太陽に灼かれて悶えた。義勇は「動ける者ーっ!武器を取って集まれーっ!炭治郎が鬼にされた!太陽の下に固定して焼き殺す!人を殺す前に炭治郎を殺せ!」と叫んだ。炭治郎が日影に逃げ込もうとすると義勇がそれを防ぐ。

義勇はそのまま炭治郎を太陽で灼き殺そうとしたが、炭治郎は太陽を克服し、陽光灼けを止めた。そして炭治郎は義勇を殺害しようとするが、伊之助がそこに割って入る。伊之助や善逸は炭治郎に声をかけるも、炭治郎は止まることなく伊之助に攻撃を仕掛けた。その時、人間に戻った禰豆子が炭治郎に抱きついて止めに入った。

【原作】23巻202話「帰ろう」
禰豆子は肩を噛まれつつ「お兄ちゃん。ごめんね。ずっと私何もわからなくなっててごめんなさい。お兄ちゃん独りに全部背負わせたね。どうしていつもお兄ちゃんばっかり苦しいめにあうのかなあ。どうして一生懸命生きてる優しい人達がいつもいつも踏みつけにされるのかなあ。悔しいよ。お兄ちゃん負けないで。あともう少しだよ。鬼になんてなっちゃだめ。帰ろう、ね、家に帰ろう。」と語りかける。

しかし、炭治郎は雄叫びを上げ、止まらずに攻撃を続けようとする。その時、善逸が「炭治郎やめろーっ!禰豆子ちゃんだぞ!元に戻ってる!人間に戻ってる!こんなことしたら死んじゃうよ!お兄ちゃんて呼んでるだろ!」と言って炭治郎にしがみついた。

伊之助も「やめろーっ!ガーガー言うな!禰豆子に怪我とかさせんじゃねえ!お前そんな…そんな奴じゃないだろ!あんなに優しかったのに…!元の炭治郎に戻れよォオオオ!」と言いながら炭治郎をはたいた。しかし、炭治郎は強力な衝撃波を放ち、善逸と伊之助を吹き飛ばす。

炭治郎は背中から長く伸びた骨と黒い荊棘のような物を出現させ、善逸たちに攻撃を仕掛ける。義勇がそれを防ぐと、炭治郎は口から光の玉を作り出して更なる攻撃を加えようとする。禰豆子は「誰も殺さないで!お兄ちゃんお願い!やめて!」と叫び、炭治郎の口に左手をかざした。

すると禰豆子の左手の爪が剥がれ、血塗れになりつつも炭治郎の攻撃は逸れた。炭治郎が暴走を続ける中、禰豆子が殺されていない事、炭治郎の攻撃が逸れている事から、義勇は炭治郎自身も鬼化に必死で抗っていると考えていた。

その時、カナヲが炭治郎に向かって日輪刀も持たずに走り出す。そして炭治郎の攻撃を受けながらも、カナヲは鬼を人間に戻す薬を炭治郎に投与する。

【原作】23巻203話「数多の呼び水」
暗闇の中、「お兄ちゃん、帰ろう。家に帰ろう。」という禰豆子の声を聞いた炭治郎は、「帰りたい。俺も家に帰りたいよ禰豆子。本当にもう疲れたんだ。お願いします神様。家に帰してください。俺は妹と家に帰りたいだけなんです。どうか…。」と願って手を伸ばした。

これまでに死んでいった仲間達が炭治郎を光の射す方へ押し上げる中、無惨の細胞は「帰ってどうなる。家族は皆死んだ。死骸が埋まっているだけの家に帰ってどうなる。」「血の匂いがするだろう。仲間達の。お前がやったのだ。恨まれているぞ。誰もお前が戻ることを望んでいない。」「謝っても許されない。」と語りかける。

炭治郎が「思い出が残ってる。あの幸せな日々は俺と禰豆子がいる限り消えない。だから帰る。」「謝りたい。みんなを傷つけてしまったこと。戻って謝りたい。」「みんなが俺を心配してくれてる。匂いでわかる。」と答えると、無惨は「黙れ。お前は私の意志を継ぐ者。前を向くな。人を信じるな。希望を見出すな。鬼でなくなれば数年の内に死ぬのだぞ。痣の代償を払わねばならぬ。自分のことだけを考えろ。目の前にある無限の命を掴み取れ。」と話した。

炭治郎はそれに対し「嫌だ。俺は人間として死ぬんだ。無限の命なんか少しも欲しくない。いらない。みんなの所に帰りたい。」と答える。すると無惨は「屑め。お前だけ生き残るのか?大勢の者が死んだというのに。お前だけが何も失わずのうのうと生き残るのか?」と話し、それを聞いた炭治郎は涙を流した。

その時、炭治郎の背中がさらに上へと押し上げられる。それは煉獄、玄弥、悲鳴嶼、しのぶ、時透、伊黒、甘露寺の手によるものだった。炭治郎の目の前には藤の花が広がり、その中から出た禰豆子の腕が炭治郎を掴む。

無惨は「手を放せ!こっちに戻れ!太陽すら克服したというのに!お前は類稀なる生物なのだ!そっちに行くな炭治郎!死んだ者達の憎しみの声が聞こえないのか!何故お前だけが生き残るんだと叫んでいるぞ!何故自分たちは失ったのにお前だけが…。」と声を荒げる。

だが、炭治郎はそれが嘘だと分かっており、「そんな人いない。自分ではない誰かのために命を懸けられる人たちなんだ。自分たちがした、苦しい思いや、悲しい思いを、他の人にはして欲しくなかった人たちだから。」と返した。そして義勇、善逸、伊之助に加え、多数の仲間達の手が炭治郎を引き上げる。無惨は「炭治郎!炭治郎行くな!私を置いて行くなアアアア!」と叫んだ。



―戦 い の 後―

【原作】23巻204話「鬼のいない世界」
無惨との戦いから三ヶ月後、炭治郎達は蝶屋敷にいた。
鬼となった時に再生した左腕は老人のようにシワシワになって動かす事ができず、無惨の細胞に侵食されていた右目も見かけは普段通りだが、見えなくなっていた。
「俺なんかより禰豆子は大丈夫なのか?傷が残るだろうなあ…。みんなにも申し訳ないよ。」と言う炭治郎に対し、禰豆子は「そんなこと気にする人いると思う?もう謝るのはなし。次謝ったらおでこはじくからね。…お兄ちゃんが人間に戻れて良かった。」と返す。
炭治郎は愈史郎が「しのぶの薬があった事と、炭治郎が最初に噛んだのが禰豆子だった事が僥倖(ぎょうこう)だった。」と言っていたことを思い出しながら禰豆子に語った。
愈史郎曰く、鬼から人間に戻った禰豆子は抗体を持っており、無惨の細胞に対して免疫があったらしく、しのぶの薬と禰豆子、そのどちらか欠けていたら炭治郎は人間に戻れなかったとのことだった。

愈史郎は「お前の鬼としての素質、ずば抜けてるよ。一瞬で太陽を克服してるし、無惨より、禰豆子より、お前には鬼の素質があったんだ。ギリギリまで自我が消えずにいられたのも凄いことだ。本当によく頑張ったな。えらいよお前は。」と炭治郎に話していた。

それを聞いた炭治郎が、涙を流しながら言葉に詰まっていると、愈史郎は「冗談で言っているんだ。真に受けるな馬鹿が。」と言い、その場を立ち去ろうとする。炭治郎はそんな愈史郎に「愈史郎さん、死なないでくださいね。珠世さんのこと、ずっと覚えていられるのは愈史郎さんだけです。」と話した。愈史郎はハッとした顔をしていたが、そのまま振り返る事なく去って行った。
炭治郎の病室には宇髄とその妻たち、煉獄杏寿郎の弟・千寿郎と父親・槇寿郎、義勇と鱗滝、日輪刀の刀鍛冶や隠の面々など、多くの人々が見舞いに訪れる。

宇髄達は元気になったら自身の屋敷を訪ねるように言い、槇寿郎は炭治郎が息子・杏寿郎の鍔をつけて戦った事に感謝を述べた。
その後、炭治郎は庭で桜を見つめるカナヲの元へ歩み寄る。炭治郎が目と傷の具合を尋ねると、カナヲは「全然見えないわけじゃないんだよ。傷も全然痛くないよ。」と答え、実弥から伊黒の友達の蛇の鏑丸を譲り受けた事を明かした。

無惨を倒した事で、鬼殺隊は解散となった。
傷が完治した炭治郎は禰豆子、善逸、伊之助と共にこれまでに戦死した仲間達、全ての墓に花を添えて実家へと戻る。そして4人は炭治郎達家族の墓に手を合わせ、家を掃除して風呂に入り、皆で笑いながらご飯を食べた。
――その後、炭治郎はカナヲと結婚したようで、最終回で描かれた現代には炭治郎とカナヲの子孫である竈門炭彦、竈門カナタが登場している。