-鬼舞辻無惨-

***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 

何故、無惨が鬼狩りの剣士を恐れるようになったか?
継国縁壱との戦い
竈門炭治郎との出会い~浅草編
鬼舞辻無惨の過去

鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)は人を鬼をに変える血を持つ鬼の始祖でもあり、唯一の例外を除いて全ての鬼は彼によって鬼に変じた“元”人間である。

彼の血はただ人間を鬼に変えるだけでなく、鬼にさらに血を与える事でその力を強化する特性も持ち、与える血の量によって鬼の階層を決めている。――ただし、本人の素養を超えた量の彼の血が注ぎ込まれた場合は、人間でも鬼でも関係なく肉体が変容に耐え切れずに崩壊して死に至る劇薬である。

自らが生み出した全ての鬼と後述する“呪い”を通して繋がっており、感覚や視覚を共有したり、その思考を読む事も可能。さらに鬼が受けた毒などの情報をその鬼の体を通して得て、抗体を作ったり、その情報を配下の鬼に共有する事も可能である。
無惨からの距離が離れる程にこれらの能力の精度は落ちるが、それでもどれだけ離れていても全ての鬼の位置情報は常時把握できる。

そのたもに、“呪い”を解除しない限り、鬼はどこにいようが無惨の監視下からは逃れられず、無惨の意に反した行動もできない。そしてこの繋がり故に無惨が死ねば彼から生まれた全ての鬼は死滅する。
 一見、紳士的で落ち着ついた人物に見えるが、極端なほど短気で気難しく、その場の気分しだいで多くの人間を無感情に殺め、それらの所業に微塵の罪悪感も抱かず、恐ろしいほど迷いがない鬼畜である。

「限りなく完璧に近い生物」と自称するだけに極めて強大な力を持っているものの、それに似つかわしくない臆病で慎重な面も持つ。

配下達はもし無惨に関する事を許可なく喋ろうものならその身が滅び去ってしまう“呪い”をかけられているだけでなく、彼の気分しだいで幹部である十二鬼月であろうと問答無用で処刑される。

**鬼の首領でありながら人間社会に溶け込んで過ごす**
  ある時はモダンな紳士「月彦」、
  ある時は利発な少年「俊國」、
  ある時は妖艶な芸妓の女性
に姿を変えており、その際には妻子を連れていたり、富豪の養子になったりと人間の家族に紛れて暮らしたりもしており、荒事さえなければ静かに日常を過ごしている。

ファンブック」においては上記を総して「人間的感性がなく、共感性が極めて低い、人間というよりも昆虫に近い」と記載されている。

 

-何故、無惨が鬼狩りの剣士を恐れるようになったか?-
 
無惨の目的は至極単純に「自分が生き延びる事」。
普段は周到な擬態により人間として市中に紛れ、戦闘でも生命の危機を覚えたら恥も外聞もなく逃走する。

また『死』に対して過剰な畏れを抱いており、圧倒的な力を持ちながら自身は決して鬼殺隊と戦おうとしない。人喰い鬼を増やし精鋭たる『十二鬼月』を直属として選別して、彼らを手駒として戦わせている。
それは、かつて乱世を極める戦国時代で遭遇した日輪の剣士「継国縁壱に生涯初の敗北を喫したことに起因する。

永久無敵を誇る自身の肉体をただの一撃で切り刻まれたことに驚愕。凄まじい怒りと屈辱を覚えた無惨は剣士が当時、連れて歩いていた珠世という女の鬼に剣士が気を取られている隙を突き自らを数千の肉片に変え逃げ出した。

しかし、無惨は復讐を考えるどころか、まともに戦っても勝てないと判断すると――相手の寿命が尽きるまで数十年以上逃げ続け、あまりにも卑怯な反則技でその男との戦いを終わらせたのである。

そのなりふり構わない「生き汚さ」もまた無惨の厄介さの一つであり、結果から見れば生き延びるためには手段を選ばない賢明な立ち回りだったという側面もある。

 

-継国縁壱との戦い-
【原作】21巻186話「古の記憶」

四百年ほど前、無惨は『日の呼吸』を使う剣士・継国縁壱と対峙した。無惨はその時、珠世を連れていた。

縁壱の兄である継国巌勝を鬼に引き入れた無惨は「呼吸を使う剣士にはもう興味がない」と言って縁壱に攻撃を仕掛けた。しかし、縁壱は無惨の攻撃を掻い潜り、頸だけではなく体全体を斬り刻んだ。無惨は体を再生しようとするが、縁壱の赫刀で斬られた体は再生しなかった。

無惨は縁壱に「命をなんだと思っている?」と問われたが、縁壱への憎しみに溢れ、その問いに答えなかった。珠世は無惨を助けようとせず、頸が落ちぬように支える無惨を見ているだけだった。

縁壱が無惨にトドメを刺そうと近づいた時、無惨は自身の身体を無数の肉片に変えて飛び散らせ、逃亡をはかった。縁壱により千八百もの肉片の内の千五百と少しを斬られ、頭部を形成するくらいの肉しか残っていなかったが、無惨は縁壱からの逃亡を果たした。

 

-竈門炭治郎との出会い-
【原作】2巻13話「お前が」
 
人間に扮して浅草を歩いていた時に、自身の匂いに勘づいて追ってきた炭治郎と相対する。その時、無惨は通りすがった人間を鬼にして騒動を起こし、炭治郎を足止めして姿を消した。

その時、かつて自身を追い詰めた縁壱が身につけていた耳飾りを炭治郎が身につけていた為、炭治郎に執着し追手を差し向ける。その追手は返り討ちにされるが、その後も鬼たちに炭治郎の殺害を命じている。



-鬼舞辻無惨の過去-

【原作】23巻201話「鬼の王」
無惨は平安時代の貴族として生を受ける。
先天的に虚弱な体質であり、母親の腹の中にいた頃から心臓は何回も止まり、生まれた時には脈も呼吸もなかったために死産と判断され、荼毘に付されようという際に息を吹き返した。

【原作】15巻127話「勝利の鳴動」
無惨は生まれつき体が弱く、「二十歳になるまでに死ぬ」とされてきた。そんな中、一人の医師が無惨を助けようと苦心した。その結果、医師は新薬を開発した。無惨はその薬を処方されていたが、成果が全く見えなかった。その事に腹を立てた無惨は、背後から刃物で医師の頭を割って殺害してしまう。

しかし、その後に薬が効き始め、無惨は強靭な身体を手に入れていた事に気付く。しかし、無惨の身体は強靭になっただけではなく、人の血肉を求めるようになった上に、日光に晒されると肉体が崩壊するようになった。こうして無惨は人喰い鬼となった。

無惨は人を喰う事を問題にはしていなかったが、日光の下に出れずに行動を制限される事に酷く屈辱を感じた。その後、無惨は医師が『青い彼岸花』を使って薬を開発した事を突き止め、その原料を探し求める。

しかし、いくら探しても『青い彼岸花』はおろか、それに関する情報さえも手に入れる事ができなかった。そこで無惨は人間を使って鬼を生み出し、『青い彼岸花』と、『鬼が太陽を克服する方法』を探させるようになった。

その為にこれ以降は、当時その医師が住んでいた地域である、後の「東京」周辺を中心に主に活動するようになる。実際に、炭治郎と初対面した場所も東京だった。
後の産屋敷家に繋がる貴族階級の人間であったらしく、屋敷に住んでいた描写がある。千年以上前の事になる為に、無惨と耀哉自身は超がつくほど遠縁になるが、二人の顔は双子のように瓜二つだと『16巻_おまけページ』にて描かれている。

産屋敷家が代々短命を宿命づけられたのも、一族から無惨という怪物を生み出してしまった事による呪いだと耀哉は語っている。

これに対し無惨は「逆恨みも甚だしい、自分にはそんな呪いは降りかかってきていない」と切り捨てている。しかし無惨が倒された後の産屋敷一族は、人並みかそれ以上の寿命を得ている為に、やはり無惨の出現を原因とした一種の呪いをかけられていた可能性が高い。


―無限城編~鬼舞辻無惨―