-音柱・宇随天元-

***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 


宇髄天元(うずいてんげん)は鬼殺隊の頂点に立つ剣士“柱”の一人。「音柱」の称号を持つ二刀流の剣士。

鬼である禰豆子の処遇を巡る柱合裁判にて初登場する。
裁判では『ならば俺が派手に首を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。もう派手派手だ』と大多数の意見に同意して、即殺処分を主張する。
鎖で繋がれた2本の日輪刀を使って戦闘を行う。
他に強力な爆薬を使用する。
使用する『音の呼吸』は、斬撃時に爆薬を使って爆発を引き起こす。忍であったゆえに毒に耐性を持っている。しかし、毒が効かないわけではなく、毒の回りが遅い、という程度の能力である。

『譜面』という独自の先頭計算式を持っている。『譜面』は、敵の攻撃や行動を音に起こす。時間がかかるが、完成すれば敵の行動や隙を先読みすることができる。

妻である「須磨」「まきを」「雛鶴」のことを大切に思っており、任務よりも自身の命を大事にするように命じている。宇髄も「妻」→「他の人間」→「自身の命」の順で優先することを明言している。



―遊 郭 編―

【原作】8巻70話「人攫い」~79話「風穴」

遊郭に先に潜入していた宇髄の妻から連絡が途絶え、宇髄が直々に遊郭へ向かうことになる。そこで、女性の鬼殺隊員が必要となり、『蝶屋敷』の隊員を無理やり連れ出そうとする。そこを炭治郎たちに見つかって大きく顰蹙(ひんしゅく)を買う。炭治郎たちは女の子の代わりに遊郭に行くことを立候補し、宇髄はそれを了承する。

遊郭についた宇髄は、炭治郎たちに女装を施し、鬼が潜んでいると思われる店に送り込んだ。
遊郭には上弦の陸である堕姫が潜んでいた。堕姫は帯を操る鬼で、宇髄の嫁は堕姫の帯に囚われていた。

伊之助が地中深くでその帯と戦っていると、その戦闘音を聞きつけた宇髄は、『音の呼吸』を使って地面を掘り進んで地下へたどり着く。帯は逃げてしまったが、囚われていた人間を救った宇髄、伊之助、善逸は堕姫と先に戦っている炭治郎の元へ急ぐ。

【原作】10巻80話「価値」~85話「大泣き」

宇髄は、伊之助・善逸よりも早く炭治郎の元へたどり着いた。そこでは炭治郎の命の危機に際し、鬼化が進んで自身を律することができなくなった禰豆子がいた。宇髄は、堕姫を無視して炭治郎と話をする。

堕姫が口を挟むと、宇髄は「お前上弦の鬼じゃねぇだろ。弱すぎなんだよ。俺が探ってたのはお前じゃない。」と発言する。次の瞬間、堕姫の頸が落ちた。炭治郎が苦戦した堕姫の頸を宇髄はあっけなく斬り落とした。

しかし、堕姫の体は崩壊を始めなかった。宇髄が不思議に思っていると、堕姫の体から新たな鬼が登場する。上弦の陸は、新たに現れた鬼・妓夫太郎と堕姫の2体で一つの鬼で、倒すには2体の鬼の頸を落とさなければならなかった。

【原作】10巻86話「妓夫太郎」~87話「集結」

妓夫太郎は堕姫よりも格段に強く、宇髄に容易に一太刀を浴びせる。妓夫太郎が持つ鎌は、妓夫太郎の血で作られており、毒が含まれていた。宇髄は忍であった故に毒への耐性を持っていたが、徐々に毒に侵されていた。

宇髄は反撃するが、頸を繋げた堕姫が妓夫太郎を守った。宇髄の戦いぶりを見た妓夫太郎は「お前違うなぁ。今まで殺した柱たちと違う。
お前は生まれた時から特別な奴だったんだろうなぁ。選ばれた才能だなぁ。妬ましいなぁ。一刻も早く死んでもらいてぇなぁ。」と言う。

それに対し、宇髄は「才能?ハッ!俺に才能なんてもんがあるように見えるか?俺程度でそう見えるならテメェの人生幸せだな。俺が選ばれてる?ふざけんじゃねぇ!俺の手の平から今までどれだけの命が零れたと思ってんだ!」と返した。
その時、脳裏には煉獄の姿あり「俺は煉獄のようにはできねぇ」と思っていた。

2対1となるが、宇髄は再び堕姫の頸を落とす。そこへ炭治郎・善逸・伊之助が合流する。

【原作】10巻88話「倒し方」~11巻91話「作戦変更」

妓夫太郎を見た炭治郎は、恐れからか手が震えた。宇髄はそんな炭治郎を励ますかのように「勝つぜ!俺たち鬼殺隊は!」とハッパをかけた。

「勝てないわよ!頼みの綱の柱が毒にやられてちゃあね!」と堕姫が口を挟むが、宇髄は「余裕で勝つわボケ雑魚がァ!毒回ってるくらいの足枷あってトントンなんだよ!こいつらは三人共、優秀な俺の”継子”だ!逃げねぇ根性がある!手足が千切れても喰らいつくぜ!」と豪語した。

そして妓夫太郎を宇髄と炭治郎が、堕姫を善逸と伊之助が相手することになった。
 
妓夫太郎は恐ろしく速く、炭治郎は宇髄に守られてしまう。炭治郎は妓夫太郎を捌いて宇髄をサポートする。二人が苦戦していると、宇髄の嫁の一人が藤の花の毒が塗られたクナイを放つ。その隙をついて宇髄が妓夫太郎の足を切り落とす。クナイを受けた妓夫太郎は再生することが出来なかったが、一瞬で毒を分解する。

炭治郎がその一瞬の隙をついて頸に日輪刀を振り下ろすが、妓夫太郎はノーモーションで両腕から血の斬撃を放つ『円斬旋回・飛び血鎌』を繰り出す。炭治郎は宇髄に投げられて窮地を脱した。

炭治郎が投げられた先では、善逸・伊之助が堕姫に苦戦していた。炭治郎は先に堕姫の頸を狙う。三人は協力して堕姫の頸を落とすことに成功する。

【原作】11巻92話「虫ケラボンクラのろまの腑抜け」

しかし、その瞬間、妓夫太郎が伊之助の胸部を突き刺す。炭治郎が宇髄の方へ視線をやると宇髄は左手を斬り落とされて倒れていた。そして炭治郎と善逸は建物の倒壊に巻き込まれてしまう。

炭治郎以外は動けない絶望的な状況だったが、炭治郎は諦めず、妓夫太郎の虚をついて宇髄の嫁からもらったフジの花の毒がついたクナイを妓夫太郎に刺して頸に迫る。妓夫太郎がそれに反撃しようとすると、宇髄が間に入って炭治郎をサポートする。宇髄は筋肉で心臓を圧迫して毒が回るのを止めていた。

宇髄は独自の戦闘計算式『譜面』を完成させており、妓夫太郎が放つ『円斬旋回・飛び血鎌』を片腕で防ぐ。そして左眼を斬られながらも炭治郎の道を切り開く。炭治郎は渾身の力を振り絞って妓夫太郎の頸を落とした。

その一方で堕姫の頸を、瓦礫から抜け出した善逸と、内臓の位置をずらして致命傷を避けていた伊之助が斬り落とす。こうして鬼殺隊が長い間滅することができなかった上弦の鬼を倒した。

【原作】11巻95話「最期」

宇髄を蝕んでいた妓夫太郎の毒は、禰󠄀豆子の血鬼術によって燃やし飛ばされた。左眼と片腕を失った宇髄は前線を退き、後進の育成に励むことになる。
また、無惨との最終決戦においては産屋敷家の新たな家長であり鬼殺隊の当主となった産屋敷輝利哉の警護を煉獄の父親・煉獄槇寿郎と共に務めた。
→【原作】21巻185話「匂いのない世界」



―宇随天元の過去―

元々は大正の頃には既に滅びかけている忍者の末裔――その次世代をになう頭領として育てられた。

しかし、時代の流れで忍が必要とされなくなることに焦った父から課される凄惨(せいさん)極まる訓練の中、過酷な修行で十歳になる前に三人が死亡。残った六人は父の命令によりお互いに顔と頭を覆面で隠した上で、相手が兄弟と知らずに殺し合いをさせられる。宇髄は兄弟を二人殺めてしまった所で父の狙いに気づいて激しく狼狽する。

さらに同じく二人の兄弟を殺して共に生き残った弟が、冷酷な父親の生き写しとなっていった様を目の当たりにして、"心"や"生命"をただ消耗品として扱う忍の在り方に疑問を覚えるようになる。
残った弟は修行で苦楽を共にしたであろう兄弟達を殺めた事に何の罪悪感も抱いておらず、兄である宇髄にも容赦なく刃を向けた。

しかし、宇髄は、父や弟のような人間になりたくないという一心で抜け忍となった。自分が宇髄一族を滅ぼして、その因果を絶つべきだったのではないかと悩んだこともあったが、結局、自分の父と弟を殺す事は出来なかった。

その後、鬼殺隊の長である産屋敷耀哉に拾われる。産屋敷耀哉は、自身の過去を否定しながら人の命を守る戦いに身を置く宇髄に感謝の言葉を述べた。それは、命をかけて当然、全てのことを出来て当然、矛盾や葛藤を抱える者は弱者、という環境で育った宇髄の心を強く打った。
→【原作】10巻87話「集結」