鬼滅の刃-無限城編


-無 惨 と の 死 闘-

***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 



【原作】21巻第181話『大災』

鳴女が無限城を操作した事により、炭治郎と義勇が無惨の元へと送られる。無惨の姿を目にした炭治郎と義勇は、これまでに命を落としてきた者たちの姿を思い浮かべ、怒りを隠すことができなかった。

そんな二人を見て無惨は「しつこい」と吐き捨てた。そして「お前たちは本当にしつこい。飽き飽きする。心底うんざりした。口を開けば親の仇、子の仇、兄弟の仇と、馬鹿の一つ覚え。お前たちは生き残ったのだからそれで十分だろう」「身内が殺されたから何だと言うのか。自分は幸運だったと思い、元の生活を続ければ済むこと。」と続けた。

無惨の言い分が全く理解できなかった炭治郎は「お前何を言っているんだ?」と問う。

無惨は「私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え。何も難しく考える必要はない。雨が、風が、山が、噴火が、大地の揺れが、どれだけ人を殺そうとも天変地異に復讐しようという者はいない。死んだ人間が生き返ることはないのだ。いつまでもそんな事にこだわっていないで、日銭を稼いで静かに暮らせば良いだろう。殆どの人間がそうしている。何故お前たちはそうしない?理由はひとつ、鬼狩りは異常者の集まりだからだ。異常者の相手は疲れた。いい加減、終わりにしたいのは私の方だ」と平然とした顔で言った。

あまりにも身勝手かつ傲慢なその物言いを聞いた炭治郎は、かつてない怒りに身を震わせながら「無惨、お前は存在してはいけない生き物だ」と告げた。
 

【原作】21巻第182話『激怒』~第183話『鬩ぎ合い』
無惨は自身の手を刃状に変え、鞭のように伸縮させて炭治郎と義勇を攻撃する。無惨の攻撃の速度は凄まじく、炭治郎は感覚でかろうじて避けている状態だった。炭治郎は攻撃を掻い潜って攻撃しようとするが、無惨は炭治郎の右眼を潰した。

無惨は頸を斬られても死なないため、炭治郎たちは夜明けまで時間を稼ごうとする。すると無惨は「時間稼ぎ…夜明けまでか?光届かぬこの城の中、柱三人でそれは可能なのか?」と言った。「柱三人」という言葉に炭治郎と義勇は疑問を抱く。

すると無惨は「縞の羽織りの柱と女の柱はすでに私の部下が殺したようだぞ?」と告げた。無惨は上弦の肆である鳴女の視界を見ており、鳴女が蛇柱の伊黒小芭内と恋柱の甘露寺蜜璃を殺害したのを知っていた。

無惨はさらに攻撃を加え、炭治郎は匂いを嗅ぎ分けて状況を把握しようとするが、あまりにも攻撃が早すぎた為に匂いを嗅げず、息が詰まってしまう。炭治郎は壁に頭をぶつけてしまい、無惨は動きが止まった炭治郎に攻撃を加える。

その時、背後から蜜璃が現れて無惨に斬りかかる。炭治郎は伊黒によって助けられていた。死んだはずの柱が現れた事に激昂した無惨は「何をしている鳴女!」と叫んだ。鳴女は珠世が作り出した鬼・愈史郎により操られていた。

愈史郎は「何をしているかだって?操っているんだよ。この女の視界を」と言った。そして「無惨お前はこの世で最も重い罪を犯した。俺から珠世様を奪ったこと、後悔して跪け!今からお前を地上へ叩き出してやる!」と涙ながらに叫んだ。

無惨は鳴女を通して愈史郎の細胞を吸収して殺害しようとする。しかし、義勇と小芭内が無惨を攻撃してそれを妨害した。それにより愈史郎は無惨の侵食を押し返した。無惨はそこで鳴女の細胞を破壊して殺害した。しかし愈史郎は鳴女の細胞が死滅する前に無限城を操作して無惨を地上へ出すことへ成功した。
 

【原作】21巻第184話『戦線離脱』
無惨たちが現れた場所は市街地だった。夜明けまではまだ1時間半もあり、炭治郎たちはそれまで無惨を地上に引き留めなければならなかった。無惨は背中から刃の触手を生やしてさらに苛烈な攻撃を繰り出した。

義勇、蜜璃、小芭内はその攻撃を掻い潜って刃を振るう。完全に日輪刀が無惨の身体を斬り裂いたが、無惨はその瞬間に傷を修復した。その早すぎる再生速度に義勇たちは無惨を切断することさえもできなかった。

無惨は自身に近づいてきた義勇たちに反撃を加える。しかし、側にいた鬼殺隊の一般隊士が肉壁となって義勇たちを守った。鬼殺隊の隊士たちは、無惨に対抗できる柱たちを守ろうと、次々に無惨に立ち向かい、無惨はそれを返り討ちにした。

無惨は「即死できた者は幸運だ。即死ができなくとも私に傷をつけられた者は終わる。あれを見るがいい」と義勇たちに言った。
義勇たちが周囲に視線を向けると、そこには右眼が変形し、血を吐いて倒れる炭治郎の姿があった。
無惨は「私は攻撃に私自身の血を混ぜる。鬼にはしない。大量の血だ。猛毒と同じ、細胞を破壊して死に至らしめる。竈門炭治郎は死んだ」と告げた。

21巻185話『匂いのない世界』~22巻189話『心強い仲間』
その後も無惨は柱たちと死闘を繰り広げ、傷を負わせた。甘露寺は一瞬の痛みに足が止まり、無惨はその隙をに攻撃を仕掛ける。その時、悲鳴嶼が現れ、甘露寺への攻撃を防いだ。
また無惨の背後には実弥がいた。実弥は無惨に火をつけ「ブチ殺してやる。この塵屑野郎」と吐き捨てた。

柱が集結したが、無惨の攻撃のスピードはさらに上がる。柱たちは運よく重傷を避けれている状態だった。その時、無惨の身体に多数付いている口が吸息を始める。その凄まじい吸い込みにより、甘露寺は身体を引き寄せられ、避けたと思った攻撃にあたって重傷を負った。それにより甘露寺は戦線離脱した。その吸息により、柱たちは大幅に無惨の攻撃を避けなければならず、通常の何倍も体力を削られた。

柱たちは徐々に傷を負い、身体の細胞が変化を始めていた。無惨は「予想以上に粘ってはいるが、もう間もなく全員が潰れる。
夜明けまで一時間十四分。細胞が破壊され死ぬまでもう五分とかかるまい。踠いても踠いても結局終わる人間は」と勝利を確信した。

その時、一匹の猫が現れ、背中から注射のようなものを射出して柱たちに突き刺した。その注射の中に入っていた物は無惨の血に対抗する血清であり、柱たちの細胞が元に戻った。無惨は「またあの女…珠世の差し金か。私の細胞破壊を止める血清のようなものまで…。無駄な足掻きをするな!潔く死ね亡者共!」と激昂し、更なる攻撃を放った。
その時、伊黒が赫刀を顕現させた。
 

【原作】22巻第190話『ぞくぞくと』
しかし、伊黒は渾身の力を使って赫刀を出した為、酸欠で失神しそうになっていた。無惨は伊黒に攻撃を仕掛けるが、伊黒は宙に飛んで攻撃を躱していた。無惨は追撃するも、奇妙な動きで伊黒はそれを避けた。

無惨がそれを不審に思った時、自身の腕が奇妙な太刀筋で切断されている事に気付く。無惨は音や土埃から、3人の姿が見えない人間が周囲にいる事に気付いた。

無惨が何もないところを攻撃すると、そこに善逸・伊之助・カナヲが現れた。善逸たちは愈史郎の札を貼る事により、姿を見えなくしていた。無惨が善逸たちに気を取られている隙に伊黒が無惨を斬りつける。赫刀で斬られた無惨は、明らかに再生速度が鈍っていた。

善逸たちが来た事で無惨の攻撃は分散し、その隙に悲鳴嶼は自身の日輪刀の斧と鉄球を衝突させた。その衝撃と熱により、悲鳴嶼も日輪刀を赫刀に変えた。加えて実弥と義勇も互いの日輪刀を打ちつけて赫刀を顕現させた。
 

【原作】22巻第191話『どちらが鬼か』
善逸たちが戦いに加わった上に、柱たちが赫刀を顕現させた事で無惨は時間を稼がれていた。更に悲鳴嶼が『透き通る世界』を使った事により、複数の脳と心臓を持っている事を知られた。伊黒も『透き通る世界』が使える様になり、悲鳴嶼と共に無惨の脳と心臓を狙おうとした。

その時、無惨は轟音と大きな振動を起こす。次の瞬間、柱や善逸たちは吹き飛ばされて意識を失っていた。その中でカナヲはただ一人意識を保っていた。しかし、日輪刀を折られた上に重傷を負っており、戦うことができなかった。無惨はそんなカナヲに歩み寄ってトドメを刺そうとする。

その時、炭治郎が現れ、無惨の腕を斬り落とした。炭治郎は顔の一部が無惨の血で変貌していたが、愈史郎の治療により一命を取り留め、意識を取り戻していた
 

22巻第191話『どちらが鬼か』~22巻第192話『廻る縁』
無惨は炭治郎を見て「何という醜い姿だ。これではどちらが鬼かわからないな。竈門炭治郎」と吐き捨てた。その時、無惨は炭治郎と縁壱の姿を重ね合わせ、「…虫唾が走る」と呟いた。炭治郎は「終わりにしよう。無惨」と告げた。

無惨は柱を倒した時と同じ轟音と大きな振動を巻き起こす。炭治郎は出血するが無惨の攻撃が見えていた。無惨は背中の管や両手よりもさらに速い八本の管を腿から出して攻撃していた。
炭治郎は『円舞』『烈日紅鏡』『火車』を続けて繰り出して攻撃を仕掛ける。その時、炭治郎の日輪刀は赫刀に変わっていた。
 

【原作】22巻第193話『困難の扉が開き始める』
強くなった炭治郎を見た無惨は「死の淵を垣間見た生き物はより強靭になると私は知っている。死を回避する為に通常生きていく上では不必要だった感覚や力の扉が開かれるのだ」という思いを抱いた。しかし、そんな炭治郎でも「継国縁壱」と比べるとまだまだ大きな差があった。無惨は「及ばない。遠く及ばないのだお前たちは。あの男には。あの男の赫刀は、斬撃は、こんなものではなかった」と思った。

日の呼吸を続け様に繰り出す炭治郎の動きはみるみるうちに鈍っていった。無惨は「もう技の精度が落ちた。赫い刃もすぐ元に戻る。所詮此奴もこの程度。当然だ。あんなもの(縁壱の事)然う然う生まれてなるものか」と思い、炭治郎に攻撃を仕掛けた。だが、炭治郎はギリギリで無惨の攻撃を躱していた。

無惨は「何だ?変わらず動きは精彩を欠いて遅い。何故私はその疲弊しきった手負いの人間一匹に止めを刺せない?」という疑問を抱いた。無惨はすぐさまその答えにたどり着いた。炭治郎を倒せなかったのは、無惨自体も遅くなっていたからだった。無惨はその原因が珠世によって投与された薬にあると睨んだ。

無惨は自身に取り込んだ珠世の細胞に対し、「お前は何をした?私に使った薬は人間返りではなかったのか?」と問いかけた。すると珠世は「お前に…使った薬は…人間に戻すもの…。それと…言わない。無駄に増やした脳味噌を使って考えたらどうだ?」と言って笑った。無惨は珠世の細胞に問うのを諦め、細胞に残る記憶を読んだ。

珠世はしのぶと薬の研究をしていた。しのぶは「薬は複数のかけ合わせにしましょう。分解されることは前提で進めるべきです。
一つ目は人間に戻す薬。そしてそれが効かなかった場合、残った薬がより強力に作用するよう細工をします。
二つ目は老化の薬が望ましいですね。珠世さんが作ったこれなら一分で五十年無惨を老いさせることができる」と話していた。

無惨は老化の進行を喰い止める為に力を削がれていたのだった。薬が効き始めるまでの時間を差し引いたとしても三時間以上は経過していた。つまり無惨は九千年は老化していたのだった。
無惨の髪が白く染まっているのは、それが理由だった。その時、鎹烏が「夜明ケマデ五十九分!」と告げた。その時、炭治郎は全ての日の呼吸を繋げる事に成功した。
 

【原作】22巻第194話『灼熱の傷』~第195話「めまぐるしく」
 しかし、炭治郎は酸欠を起こしていた。無惨はその隙をついて攻撃を仕掛けるが、炭治郎は伊黒に助けられる。伊黒は無惨の攻撃で顔を斬り裂かれ、両目を潰されていた。伊黒が蛇の鏑丸の察知能力によって無惨の攻撃をしのぐと、無惨は「あのような畜生に私の攻撃が読まれているだと?」と激怒した。

無惨は老化薬の分解に手間取っており、そちらに体力を奪われて手負いの伊黒を倒せないでいた。その時、無惨の身体に無数の古傷が浮かんだ。それは縁壱につけられた傷だった。縁壱の攻撃は何百年経っても治癒せず、ずっと無惨の細胞を灼き続けていたのだった。

無惨は「あの男(縁壱)は初め弱く見えた。覇気も、闘気も、憎しみも、殺意もない。そんな男が私の頚を刎ね斬り刻むなど、さらにはその傷が何百年もの間、太陽の光のように私の肉を細胞を灼き続けるなど、例え神や仏でも予想できなかったはず。本当の化け物はあの男だ。私ではない!」という思いを抱いていた。
→「鬼舞辻無惨×継国縁壱」

【原作】22巻第195話「めまぐるしく」
継国縁壱がつけた傷は、心臓と脳と一緒に移動していた。それにより、『透明な世界』が感知できなくても的確に急所を狙うことが可能となっていた。その時、鎹烏が「夜明ケマデ四十分!」と叫び、それを聞いた無惨は逃走を始めた。
無惨は誇りを持った侍でも、感情で行動する人間でもなく、生きることだけに固執している生命体であるため、逃走する事に一切の抵抗もなかった。

逃走する無惨は、背後から飛来する日輪刀に気づく。炭治郎は周辺に落ちていた日輪刀を投げていた。無惨は刀を払いながら「しつこい虫共。払っても払っても纏わり付く。今は斬撃よりも体深くに刀が貫通する方が危険だ」と思っていた。

しかし次の瞬間、伊黒に日輪刀を首元に突き立てられる。さらに愈史郎の札を持った炭治郎も追いつき、無惨の反撃を受けながらもなんとかその札を伊黒と鏑丸に渡すことに成功する。

伊黒は愈史郎の札を使って鏑丸と視界を共有し、炭治郎と連携して無惨を挟むように戦った。無惨は気づけば息切れをしており、自身の体力が限界に近づいているという驚愕の事実に気づく。
 

【原作】22巻第196話「私は」~23巻第197話「執念」
戦いを続ける中、無惨は柱たちの命の気配を感じ取り、柱たちが戻ってくる事を予感した。

夜明ケマデ三十五分!」と鎹烏が告げた時、無惨の左腕が膨れ上がった。無惨は縁壱と戦った時と同じ様に肉片を飛散させて逃亡しようとしていた。それに気付いた炭治郎は「伊黒さん、無惨が分裂する!」と叫んだ。
しかし、無惨の左腕はそのまま萎んでいき、無惨は驚愕の顔を浮かべた。無惨は分裂できなかったのは珠世のせいだと気付いた。

「そうか。薬は三つだったのか。人間返り、老化、分裂阻害。女狐が…!」と無惨は苛立ちをつのらせた。その時、幻覚か亡霊か無惨の傍らに珠世が現れ、「残念。はずれです」と言って笑った。

その瞬間、無惨は吐血する。「薬は四つですよ。三つの薬で弱った所に細胞破壊の薬が効き始める。さぁ、お前の大嫌いな死がすぐ其処まで来たぞ」、「お前を殺す為にお前より強くなる必要はない。お前を弱くすればいいだけの話。お前が生きる為に手段を選ばないように、私も…私たちも、お前を殺す為に手段を選ばない」と珠世は告げた。
 

【原作】23巻第197話「執念」
本来ならば、縁壱には遠く及ばない炭治郎たちの攻撃は無惨に通じるはずもなかった。例え肉を断たれたとしても無惨はすぐに修復が可能で、疲労する事もなかった。しかし、珠世の四種の薬により無惨は追い詰められていた。
無惨に投与されている毒は、しのぶが上弦の弐である童磨に使った物とも異なっており、分析・分解に時間が必要だった。

無惨は一瞬動きを止め、次の瞬間に周囲に凄まじい衝撃を放つ血鬼術を使用した。無惨の身体には巨大な口が出現していた。その血鬼術を受けた炭治郎と伊黒は痙攣が止まらず、身体を動かす事も、呼吸をする事もできなくなった。

さらに烏を通して戦いを見ていた産屋敷輝利哉やその姉妹にもその影響が及び、輝利哉たちは鼻血を出していた。この時、夜明けまであと二十五分になっていた。
無惨は炭治郎たちを置いて逃走しようとするが、伊之助が無惨の前に立ち塞がった。無惨は疲労により術を使用する事ができなくなっていた。無惨は地中から腕を伸ばして自身に斬りかかる伊之助を捕らえた。

しかし、善逸が割って入って伊之助を助ける。無惨は善逸を攻撃するも、伊之助に阻まれて善逸にとどめを刺す事ができなかった。
無惨は疲労により身体が鉛のように重く感じていた。何度も立ち上がる伊之助や善逸を見て、無惨は「また立ち上がる害虫共。潰しても潰しても死なない。湧いて湧いて、何度でも立ち上がる。夜明けまで。私の息の根を止める瞬間まで」と苛立った。
 

【原作】23巻第198話「気付けば」
善逸と伊之助と戦う中、無惨は炭治郎と伊黒に使った衝撃波を放つ血鬼術を使用する。しかし連発する事ができない上に、腕や触手の速度も落ちていた。無惨は炭治郎に日輪刀を突き立てられ、壁に押し付けられた。

炭治郎を攻撃して逃れようとするも、そこに現れた甘露寺に左腕を引きちぎられ、さらに現れた実弥によって右腕と触手を斬り落とされる。次の瞬間、無惨の顔が割れ、巨大な口が出現して炭治郎に喰いつこうとすると、伊黒が間に入って炭治郎を守った。その時、遂に夜が明けた。
 

23巻第199話「千年の夜明け」~第200話「勝利の代償」

夜明けを見た無惨は強烈な衝撃波を放ち、炭治郎たちを振り払おうとした。実弥や伊黒は吹き飛ばされるが、炭治郎は左腕を失いながらも踏みとどまっていた。炭治郎は片腕で日輪刀を赫刀に変えようとしていた。

その時、炭治郎の背後に義勇が現れ、共に日輪刀を握って赫刀を顕現させた。無惨は吐血し、更に日に顔を灼かれた。「体を縮めれば一瞬で灼き尽くされる。肉体を守れ。肉の鎧を」と考えた無惨は、肉を膨れ上がらせ、巨大な赤ん坊の姿となった。炭治郎は膨れ上がった肉に呑まれた。

赤ん坊は日光に灼かれながら逃走を始めた。生き残っていた鬼殺隊の隊士たちは瓦礫を落としたり、車で赤ん坊に突撃したりして赤ん坊を引き止めた。赤ん坊が隊士たちに攻撃しようとした時、実弥が赤ん坊の腕を斬り落としてそれを防いだ。

そこに悲鳴嶼も現れる。悲鳴嶼は日輪刀の鎖を赤ん坊の首に回し、鬼殺隊の隊士たちと一緒に鎖を引いた。引き倒された赤ん坊は伊黒や義勇、実弥の攻撃を受けつつも、鎖を引きちぎって地中に逃げ込もうとする。その時、赤ん坊に呑まれていた炭治郎が日輪刀を握って赫刀を発現させた。すると赤ん坊は血を流して絶叫し、太陽に灼かれて消滅していった。

戦闘終了後、消えた無惨の身体から出てきた炭治郎の亡骸を前に悲しむ冨岡義勇らだった――。