-竈門 炭治郎-


***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 



―無惨に家族を殺され、禰󠄀豆子を鬼にされる―

【原作】1巻第1話「残酷」

炭治郎は母親と5人の兄妹と共に暮らしていた。炭治郎の家は炭焼きを生業としており、炭治郎は炭を売りに山を降りた。炭を売り終えた炭治郎は家へ帰ろうとするが、夜が更けていた為に男性に止められた。炭治郎は鼻が利くから問題ないと話したが、男性は炭治郎を帰そうとしなかった。男性は「鬼が出るぞ」と話した。

次の日の朝、家路についた炭治郎は不吉な予感が止まらなかった。炭治郎の家からは血の匂いがしていた。炭治郎が急いで家に帰ると、そこには血塗れで倒れる家族の姿があった。その時、炭治郎は見知らぬ匂いがあることに気付いた。

家族は妹の禰豆子以外は既に息が無かった。炭治郎は禰豆子を抱えて山を降ろうとするが、その途中、禰豆子が暴れ出し、炭治郎に襲いかかった。禰豆子は鬼になっており、炭治郎を喰おうとしてた。炭治郎は禰豆子が正気に戻るように必死で呼びかけた。すると禰豆子は炭治郎を襲いながらも涙を流した。

その時、一人の剣士が禰豆子に斬りかかり、炭治郎は咄嗟に禰豆子を守った。その剣士は鬼を滅する組織『鬼殺隊』の隊士である冨岡義勇だった。

炭治郎は義勇から禰豆子を守ろうとするが、義勇は一瞬のうちに禰豆子を奪い、禰豆子を殺害することを告げた。それを聞いた炭治郎は、見知らぬ匂いが家に残っていた事、自分が禰豆子を必ず人間に戻す事、家族を殺した者を探し出す事を宣言するが、義勇はそれに構わず禰豆子に刀を突き刺そうとした。

それを見た炭治郎は「やめてください…。どうか妹を殺さないでください…。お願いします…。」と涙ながらに頭を下げた。

それに対し義勇は「生殺与奪の権を他人に握らせるな!惨めったらしくうずくまるのはやめろ!そんなことが通用するならお前の家族は殺されてない!(──中  略──) なぜさっきお前は妹に覆い被さった!あんなことで守ったつもりか!?なぜ斧を振らなかった!なぜ俺に背中を見せた!そのしくじりで妹を取られている!お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ!」と叫んだ。そして禰豆子を刀で串刺しにした。

炭治郎は義勇に石を投げつけ、斧を持って義勇に立ち向かった。炭治郎は正面から義勇に斧を振るおうとするが、義勇にあっけなく倒されてしまう。しかし、次の瞬間、義勇の頭上から斧が降ってきた。炭治郎は義勇に敵わないことを悟っており、木の陰から斧を宙に投げて自身が倒された後に義勇を攻撃しようとしていた。

炭治郎の攻撃は当たらなかったが、その一瞬の隙に禰豆子が義勇の手から離れてしまう。禰豆子は炭治郎の元へ走り、義勇は炭治郎が喰われてしまうと思った。しかし禰豆子は炭治郎を襲うどころか、炭治郎を守るように義勇の前に立ち塞がった。

その姿を見た義勇は禰豆子は他の鬼とは何か違うと思い、禰豆子を生かした。そして義勇は炭治郎に鱗滝左近次という男の元へ向かうように告げて姿を消した。

炭治郎は家族を埋葬し、禰豆子と共に鱗滝の元へ向かった。



―鬼殺隊への入隊―

【原作】1巻第4話「炭治郎日記・前編」
~6話「山ほどの手が」

炭治郎は義勇から紹介された鱗滝という男の元へ向かった。鱗滝は鬼殺隊を育成する『育手』だった。鱗滝は鬼殺隊の剣士が鬼と戦うために使用する『呼吸』の使い方を炭治郎に教えた。そして巨大な岩を刀で斬ることが出来れば訓練を終えると告げた。しかし、炭治郎は岩を斬れる気がしなかった。

基礎訓練を続けていた炭治郎の前に、ある日、錆兎という少年真菰という少女が現れた。二人は狐の面を身につけていた。錆兎は炭治郎に斬りかかった。炭治郎は応戦するが、錆兎の剣技は炭治郎を上回っており、炭治郎は気絶させられた。

それから炭治郎は錆兎と剣の訓練を続けた。それから半年後、炭治郎は『隙の糸の匂い』がわかるようになった。『隙の糸の匂い』に気づくと、炭治郎の刀から相手に繋がる糸が見えた。その糸が見えると、炭治郎は引き寄せられるように相手の隙をつくことができた。

そして炭治郎は『隙の糸の匂い』に気づき、錆兎より早く剣を振るって錆兎の面を斬り落とした。面の奥の錆兎の素顔は笑っていた。側にいた真菰は「勝ってね炭治郎。アイツにも。」と言った。気付けば錆兎と真菰を姿を消し、炭治郎は岩を両断していた。

【原作】1巻6話「山ほどの手が」~2巻9話「おかえり」

それから炭治郎は鬼殺隊へ入隊するために『最終選別試験』へと向かった。試験の内容は鬼の放たれた山で七日間生き抜くことだった。炭治郎は鱗滝から受けた訓練で『水の呼吸』を使えるようになっていた。

炭治郎は『水の呼吸』を使って順調に鬼を倒していくが、そこへ無数の手が生えた異形の鬼・手鬼が現れる。炭治郎は最終選別に向かう前に鱗滝から厄除けとして狐の面を貰っていた。その面を見た手鬼は「また来たな。俺の可愛い狐が。」と口にした。

手鬼は鱗滝に捕らえられた鬼で、鱗滝に恨みを持っていた。その為、手鬼は鱗滝の弟子の証である狐の面を持つ者を狙って殺害していた。手鬼はこれまで殺した鱗滝の弟子の特徴を挙げた。それは錆兎と真菰の特徴と一致していた。錆兎と真菰が手鬼に殺されたことを知った炭治郎は激怒し、手鬼に立ち向かう。そして手鬼を倒し、無事に鬼殺隊の一員となった。
鱗滝の元へ戻った炭治郎は鬼を滅することができる唯一の武器『日輪刀』を受け取った。日輪刀は別名『色変わりの刀』と呼ばれ、持ち主によって刀身の色が変わった。炭治郎が日輪刀を手にすると、刀身が黒色に染まった。日輪刀が黒色になる剣士は珍しく、出世しない剣士と言われていた。

そして炭治郎と禰豆子は、禰豆子を人間に戻す方法を探す事と、鬼の首魁である鬼舞辻無惨を倒す事を目的に、鱗滝の元を離れた。



―鬼舞辻無惨との遭遇/珠世・愈史郎との出会い―

【原作】2巻13話「お前が」
~14話「鬼舞辻の癇癪・幻惑の血の香り」

鬼を倒した炭治郎は浅草を訪れた。浅草は無数の人が行き交っていたが、その中で炭治郎は嗅いだことがある匂いを見つける。それは、炭治郎の家族を殺害した鬼舞辻無惨の匂いだった。炭治郎は人混みの中から無惨を探し当てる。無惨は人間の妻と子供と一緒に歩いていた。炭治郎は無惨が人間に成りすましている事に驚愕する。

無惨は何も知らない顔をしながら、道ゆく人を鬼にして騒動を起こした。炭治郎は周囲の人に襲いかかろうとする鬼を取り押さえるが、その間に無惨は遠くに行ってしまった。炭治郎は「鬼舞辻無惨!俺はお前を逃さない!どこへ行こうと地獄の果てまで追いかけて必ずお前の頸に刃を振るう!絶対にお前を許さない!」と叫んだ。

無惨は炭治郎が身に付けている耳飾りを見て表情を変えていた。
──かつて、炭治郎と同じ耳飾りを身に付けた剣士に追い詰められたことがあった。無惨は配下の鬼に炭治郎の頸を持ってくるように命じた。

その後、憲兵隊たちがやって来て、炭治郎を鬼から引き離そうとしていた。炭治郎は拘束具を持ってくるように言うが、憲兵隊は聞き入れようとしなかった。炭治郎が「やめてくれ!この人に誰も殺させたくないんだ!邪魔をしないでくれお願いだから!」と叫んだ。

その時、異様な匂いが周囲に蔓延し、花の幻覚が見えた。そして「あなたは鬼となった者にも「人」という言葉を使ってくださるのですね。そして助けようとしている。ならば私もあなたを手助けしましょう。」と言って女性と男性が現れた。二人は珠世と愈史郎といい、無惨に敵対する鬼だった。

【原作】2巻15話「医師の見解」   
~3巻19話「ずっと一緒にいる」

炭治郎は禰豆子を連れて珠世たちが隠れている屋敷へと向かった。珠世はかつて無惨に鬼にされた事で夫を殺害してしまっていた。今は身体を弄って少量の血を飲むだけでいい身体にしていた。そして愈史郎は瀕死となっていた時に珠世に出会い、生き長らえる為に珠世に鬼にしてもらっていた。

炭治郎は珠世に禰豆子を人間に戻す方法があるか聞いた。すると珠世はどんな病にも治療法はあると言った。しかし、現時点では鬼を人に戻すことができなかった。珠世はその手法を見つける為に、禰豆子の血を調べる事と、無惨の血が濃い鬼から血液を採取する事を炭治郎に頼み、炭治郎はそれを了承した。
その時、無惨が差し向けた朱紗丸と矢琶羽という鬼が現れた。炭治郎は矢琶羽と、禰豆子と珠世たちは朱紗丸と戦うことになった。

矢琶羽は矢印の血鬼術を使った。矢琶羽が作り出す矢印に触れた物体は、矢印が示す方向に引っ張られた。炭治郎はその矢印が見えておらず、壁や地面に打ち付けられた。しかし、愈史郎の助力によりその矢印を視認することができるようになり、炭治郎は矢琶羽を倒した。朱紗丸は珠世の血鬼術により無惨の名前を喋らされ死亡した。

鬼に居場所が割れたことにより、危険を感じた珠世たちは浅草を離れることになった。珠世は禰豆子を預かることを提案したが、炭治郎は禰豆子と離れることはしなかった。



―善逸、伊之助との出会い―

【原作】3巻20話「我妻善逸」~21話「鼓屋敷」

炭治郎は任務地に行く途中、女性にすがりつく男を発見する。炭治郎は嫌がる女性を見て男を止めた。男は炭治郎の事を知っているようだったが、炭治郎は全く身に覚えがなかった。
その男は我妻善逸といい、炭治郎と同期の鬼殺隊の剣士だった。炭治郎は最終選別試験の時に会っていたが、全く覚えていなかった。

善逸は臆病で女好きな性格をしていた。善逸が任務に行く途中に恐怖からうずくまって泣いていると、それを心配した女性が善逸に声をかけた。すると善逸は女性が自身に気があると思い込み、求婚していたのだ。

善逸は、自身を止めた炭治郎に「お前責任とれよ!お前のせいで結婚できなかったんだから!」と恨み言を言った。それを聞いた炭治郎は軽蔑したような目で善逸を見た。

そして炭治郎は善逸と一緒に任務へ向かった。
向かった先には一件の屋敷があった。屋敷の外には正一てる子という兄妹がいた。炭治郎が二人に話を聞くと、兄がこの屋敷に住まう鬼に攫われたとの事だった。

炭治郎は禰󠄀豆子が入った箱を正一とてる子の元へ残し、善逸と一緒に屋敷の中に入って行った。しかし、禰󠄀豆子が箱の中に微かに動いていることに恐れた正一とてる子が屋敷に入ってくる。炭治郎は兄妹を外に出そうとするが、突然部屋が切り替わり、善逸と正一とはぐれた。炭治郎が突然の自体に驚いていると、そこに響凱という名の鬼が現れる。

響凱は無惨直属の配下の鬼である十二鬼月の元メンバーだった。響凱は人間を喰えずにこれ以上強くなれず、無惨から十二鬼月から外されていた。その為『稀血(人間50人分にも値する稀少な血を持つ人間)』の人間を喰って十二鬼月に返り咲こうとしていた。

正一とてる子の兄は稀血だった。しかし、響凱の屋敷に他の鬼もやって来てしまい、稀血を求めて争いが起きた。その時に正一たちの兄は響凱の身体から生えている鼓の一つを手に入れた。その鼓を叩くと屋敷の部屋を入れ替える事ができた。炭治郎が突然違う部屋へ移動したのは正一たちの兄が鼓を叩いたからだった。

【原作】3巻22話「突然の猪」~24話「元十二鬼月」

響凱は身体から生えている鼓を叩くと、部屋を回転させたり、斬撃を発生させたりする血鬼術を使用する事ができた。炭治郎はぐるぐると回る部屋の中で響凱と戦っていた。

すると突然、猪の被り物を身に付けた男が乱入してきた。その男は二本の日輪刀を持っていた。炭治郎は鬼殺隊の仲間かと思ったが、その男はてる子を容赦なく踏みつけにした。
それに怒った炭治郎が男を投げつけると、その男は嬉しそうに炭治郎に斬りかかってきた。その後、炭治郎は響凱に加えて猪の被り物をつけた男と戦った。しかし、その途中で再び部屋が切り替わった。

炭治郎は屋敷を捜索して正一たちの兄を見つけ出した。そこに響凱がやって来るが、炭治郎は部屋を切り替えさせててる子とその兄を逃した。そして響凱と戦闘を始める。

炭治郎はここに来る前の戦闘により負傷しており、動きが鈍かった。回転する部屋に加え、高速で放たれる斬撃に炭治郎の身体は悲鳴をあげていた。しかし、炭治郎は戦いの中で痛みが少ない動き方を見つけ、響凱を倒した。

【原作】3巻25話「己を鼓舞せよ」~4巻27話「嘴平伊之助」

炭治郎が痛みが少ない動き方を見つけたのは、小説の原稿を踏まないように避けたことがきっかけだった。その小説は、鬼になる前の響凱が書いた物だった。響凱は自身が書いた小説を馬鹿にされ、鬼となってその者を殺害していた

響凱は消える前に「小生の…血鬼術は…凄いか…。」と炭治郎に聞いた。それに対し、炭治郎は「凄かった。でも、人を殺したことは許さない。」と答えた。響凱は「…そうか。」と言って消えていった。

屋敷の外に出た炭治郎は、屋敷で会った猪の被り物をした男が、禰󠄀豆子の入った箱を守る善逸を殴りつけるのを目にした。
猪の被り物をつけた男は嘴平伊之助という名の鬼殺隊の隊士であった。伊之助は箱の中から鬼の気配を感じ取り、禰󠄀豆子を殺害しようとしていた。

善逸は箱の中身が鬼だと知りながら、炭治郎が大切な物と言っていた事から箱を守っていた。炭治郎は怒り心頭となり伊之助と戦いを始める。そして炭治郎は伊之助の肋を折り、頭突きにより失神させた。

こうして鼓屋敷での戦いは決着するも、禰豆子を巡るトラブルもあり炭治郎たちはそれぞれにかなりの深手を負っていた。三兄妹と別れた後、炭治郎、禰豆子、善逸、そして“自分を倒した炭治郎”にしつこく再戦を要求する伊之助の四人は、鬼殺隊の剣士たちの療養所である「藤の家」へと向かうこととなる。


「那田蜘蛛山での戦い」→