-竈門 炭治郎-


***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 



―那田蜘蛛山での戦い―

【原作】4巻28話「緊急の呼び出し」    
~31話「自分ではない誰かを前へ」

炭治郎は指令により善逸、伊之助と共に那田蜘蛛山へと向かう。那田蜘蛛山へ着くと一人の鬼殺隊の隊員が助けを求めていた。炭治郎たちは即座に駆け寄るが、その者は何かに引き寄せられるように山の中に消えていった。炭治郎は怯える善逸をおいて伊之助と一緒に山に入った。

那田蜘蛛山には下弦の陸である累がいた。累は家族の絆に飢えた鬼で鬼たちと擬似的な家族関係を築いていた。
山の中には多くの鬼殺隊の隊員がいた。しかし、それらの隊員は『母』の鬼が使う糸により操られていた。隊員たちは自身を殺すように言い、伊之助はその通りにしようとした。

しかし、炭治郎はそれを止め、木の上に投げて糸を絡ませる事で隊員たちが行動できないようにした。しかし、それを知った『母』の鬼は隊員たちの首を追って殺害した。炭治郎はそれに対し怒りの表情を見せた。

伊之助の並外れた触覚で『母』の鬼を探し当て、炭治郎は『母』の鬼の頸に迫った。その時、『母』の鬼は炭治郎の方に手を伸ばし、死を受け入れるような素振りを見せた。『母』の鬼は累からの強制的に顔を変えられ、暴力を振るわれながら『母』を演じさせられていた。

『母』の鬼は死んで累から逃れようとしていた。『母』の鬼が死を受け入れたのを察した炭治郎は、痛みを与えない『水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨』を使用した。

『母』の鬼は炭治郎の優しい目を見て、人間だった頃の記憶をかすかに思い出した。そして「十二鬼月がいるわ。気をつけて…!」と告げて消えていった。

【原作】4巻34話「強靭な刃」~5巻38話「本物と偽物」

山を進む炭治郎と伊之助の前に『父』の鬼が現れる。『父』の鬼は凄まじい腕力の持ち主で、さらに皮膚が硬く、日輪刀が通らなかった。炭治郎は伊之助と力を合わせて戦うが、『父』の鬼は木で炭治郎を殴りつけて吹き飛ばした。炭治郎は吹き飛ばされながら「俺が戻るまで死ぬな!」と伊之助に叫んだ。
炭治郎はすぐさま伊之助の元へ戻ろうとするが、そこで二人の鬼を見つける。それは『姉』の鬼だった。累は『姉』の鬼を傷つけていた。

それを見た炭治郎が「何してるんだ…!仲間じゃないのか!」と言うと累は「仲間?そんな薄っぺらなものと同じにするな。僕たちは家族だ。強い絆で結ばれているんだ。」と話した。

それに対し、炭治郎は「家族も仲間も強い絆で結ばれていればどちらも同じように尊い。血のつながりがなければ薄っぺらだなんてそんなことはない!それから強い絆で結ばれている者は信頼の匂いがする!だけど、お前たちからは恐怖と、憎しみと、嫌悪の匂いしかしない!こんなものを絆とは言わない!紛い物…偽物だ!」と告げた。

累は憤怒の表情で「お前いま何て言ったの?」と炭治郎に聞いた。炭治郎は凄まじいプレッシャーを感じながらも「何度でも言ってやる。お前の絆は偽物だ!」と告げた。

その後、炭治郎は累と戦い始める。炭治郎は累が使う糸を断ち切ろうとするが、累の糸は凄まじい硬度で、逆に炭治郎の日輪刀が折れてしまう。そして炭治郎は累に成す術がなく累の糸に取り囲まれてしまう。

その時、禰󠄀豆子が累の糸から炭治郎を庇った。それ見た累は「妹は兄を庇った…。身を挺して…。本物の絆だ!欲しい…!」と言って打ち震えた。

そして累は「坊や。話をしよう。僕はね、感動したんだよ。君たちの"絆"を見て。体が震えた。この感動を表す言葉はきっとこの世にないと思う。でも君たちは僕に殺されるしかない。悲しいよね。そんなことになったら。だけど回避する方法が一つだけある。君の妹を僕に頂戴。大人しく渡せば命だけは助けてあげる。」と炭治郎に話した。

しかし炭治郎がそれを了承するはずもなかった。累は十二鬼月の証である目を見せ、炭治郎を殺して禰󠄀豆子を奪うと宣言した。

【原作】5巻39話「走馬灯の中」~42話「後ろ」


累は一瞬のうちに糸で炭治郎から禰󠄀豆子を奪った。炭治郎は禰󠄀豆子を取り戻すために立ち向かい、『水の呼吸 拾ノ型 生生流転』を繰り出した。『生生流転』は回転しながら剣を振るう技であり、回転する毎に威力が増した。その技で炭治郎は累の糸を断ち切ることができた。

しかし累は「ねぇ。糸の強度はこれが限界だと思ってるの?」と言い、糸に血を纏わせてさらに硬度をあげた。そして炭治郎を糸で取り囲んだ。炭治郎はこれまでと違う糸の匂いから、自身では糸を斬れないことを悟った。その時、炭治郎は走馬灯を見た。

炭治郎は「炭治郎、呼吸だ。息を整えてヒノカミ様になりきるんだ。」と話す父親・炭十郎の事を思い出していた。
炭治郎の家では、年の始めに『ヒノカミ神楽』という舞を神様に捧げるのが習わしだった。
幼き頃の炭治郎は「父さんは体が弱いのにどうしてあんな雪の中で長い間舞を舞えるの?俺は肺が凍りそうだよ。」と炭十郎に尋ねた。
炭十郎は「息の仕方があるんだよ。どれだけ動いても疲れない息の仕方。正しい呼吸ができるようになれば炭治郎もずっと舞えるよ。寒さなんて平気になる。」と話した。
炭十郎は「炭治郎、この神楽と耳飾りだけは必ず途切れさせず継承していってくれ。約束なんだ。」と炭治郎に伝えた。
炭治郎は『水の呼吸』から『ヒノカミ神楽』へと切り替え、累の糸を斬った。しかし、炭治郎は『水の呼吸』から『ヒノカミ神楽』に無理に切り替えた反動で、もうすぐ体が動けなくなることを察していた。炭治郎は刺し違えても累を倒そうとした。

その時、累に出血させられて気絶していた禰󠄀豆子が目を覚まし、血鬼術『爆血』を使用し、累の糸を焼き切った。→「禰󠄀豆子
そしてその隙に炭治郎は累の頸に日輪刀を振るう。炭治郎の一撃では累の頸を斬れなかったが、日輪刀についていた禰󠄀豆子の血が爆発し、日輪刀が加速した。そうして累の頸は落とされた。

炭治郎は『ヒノカミ神楽』を使った反動で動けなくなっていた。必死に禰󠄀豆子の元へ炭治郎が這い寄っていると、背後から累の匂いがした。累は炭治郎に頸を斬られる寸前で、自ら頸を切り離しており、死んでいなかった。累は動くことができない炭治郎と禰󠄀豆子を殺害しようとした。その時、冨岡義勇が応援に駆けつけた。義勇は累の糸を難なく斬り捨て、頸を落とした

【原作】5巻43話「地獄へ」

累は消える寸前にかつての記憶を思い出した。

→「下弦の伍・累の過去

義勇は累が来ていた着物を踏みにじり「人を喰った鬼に情けをかけるな。子供の姿をしていても関係ない。何十年何百年生きている醜い化け物だ。」と話した。それを聞いた炭治郎は「殺された人たちの無念を晴らすため、これ以上被害者を出さないため…勿論俺は容赦なく鬼の頸に刃を振るいます。だけど、鬼であることに苦しみ、自らの行いを悔いている者を踏みつけにはしない。鬼は人間だったんだから。俺と同じ人間だったんだから。足をどけてください。醜い化け物なんかじゃない。鬼は虚しい生き物だ。悲しい生き物だ。」と話した。

【原作】6巻44話「隊律違反」

その時、蟲柱の胡蝶しのぶが現れて禰󠄀豆子に斬りかかるが、義勇がそれを防いだ。炭治郎は義勇の命令で禰󠄀豆子を担いで逃亡した。しかし、炭治郎と同期の剣士である栗花落カナヲが現れ、炭治郎は気絶させられる。

カナヲは禰󠄀豆子を殺害しようとするが、その途中に炭治郎と禰󠄀豆子を殺さずに拘束するように伝令が入った。炭治郎と禰󠄀豆子は拘束されて本部へ連れ帰られた。




―柱 合 会 議―

【原作】6巻45話「鬼殺隊柱合裁判」

意識を失っていた炭治郎は複数の人間から声をかけられて目を覚ました。炭治郎の周りには鬼殺隊の中で最高の剣士である『柱』たちがいた。炭治郎は鬼殺隊の一員でありながら、鬼を連れていたことで柱たちによる会議『柱合会議』にかけられていた。

炭治郎は禰󠄀豆子がこれまでに人を喰ったことがない事、これからも人を襲わない事を話した。しかし、柱たちはそれを証明する事ができないと言った。

そこに禰󠄀豆子が入った箱を携えた風柱・不死川実弥がやってくる。実弥は柱の中でも特に鬼を憎む人物で、決して炭治郎と禰󠄀豆子の事を許そうとしなかった。実弥は禰󠄀豆子が鬼殺隊として鬼と戦える、という炭治郎の言葉がありえないとし、禰󠄀豆子を日輪刀で突き刺した。

それを見た炭治郎は「俺の妹を傷つける奴は柱だろうが何だろうが許さない!」と言って実弥に頭突きした。そして「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら柱なんてやめてしまえ!」と告げた。
その時、鬼殺隊の長である産屋敷耀哉が入ってきた。
耀哉は「炭治郎と禰󠄀豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めて欲しいと思っている。」と話した。しかし、ほとんどの柱はそれを認可できなかった。そこで耀哉は手紙を取り出した。それは鱗滝からの手紙だった。

その手紙には「炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許しください。禰󠄀豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。飢餓状態であっても人を喰わずそのまま二年以上の歳月が経過致しました。俄には信じ難い状況ですが紛れもない事実です。もしも禰󠄀豆子が人に襲いかかった場合は竈門炭治郎及び鱗滝左近次、冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します。」と記してあった。手紙の内容を知った炭治郎は涙を流した。

しかし、それでも柱たちは禰󠄀豆子が人を襲わない証明にはならないと言った。そんな柱たちに耀哉は「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない。証明ができない。ただ、人を襲うということもまた証明ができない。禰󠄀豆子が二年以上もの間、人を喰わずにいるという事実があり、禰󠄀豆子のために二人の者の命が賭けられている。これを否定するためには否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない。」

「それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している。鬼舞辻はね炭治郎に向けて追っ手を放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない。恐らくは禰󠄀豆子にも鬼舞辻にとって予想外の何かが起きているのだと思うんだ。」と話した。

それを聞いたほとんどの柱は口を閉じたが、実弥だけは「わかりません親方様!人間ならば生かしておいてもいいが鬼は駄目です!承知できない!」と告げた。

実弥は「証明しますよ俺が!鬼という物の醜さを!」と言い、自身の腕を日輪刀で切り裂いた。そして実弥は禰󠄀豆子を刺し、禰󠄀豆子に血だらけになった腕を見せつけ、禰󠄀豆子の危険性を示そうとした。しかし禰豆子は、血の匂いに葛藤しますが、その時、脳裏に炭治郎や今は亡き家族の姿が蘇り、そして「人は守るもの、絶対に傷つけないもの」と思い、顔を背け不死川の誘いを振り切りました。それにより、禰󠄀豆子に危険がないことが証明され、炭治郎と禰󠄀豆子は不問となった。

その後、炭治郎と禰󠄀豆子はしのぶが所有する医療施設『蝶屋敷』へと送られた。



―機能回復訓練―

【原作】6巻48話「蝶屋敷」~50話「機能回復訓練・後編」

炭治郎は蝶屋敷で善逸、伊之助と再会する。それぞれが重賞で、特に善逸は身体が蜘蛛になりかけており、特に容態がひどかった。

傷が癒えた一同はリハビリである『機能回復訓練』に入ることになった。その内容は、蝶屋敷にいる女の子による無理な柔軟や、鬼殺隊の栗花落カナヲや神崎アオイとの追いかけっこだった。カナヲは炭治郎たちよりも強く、一同はカナヲにだけは勝つことができなかった。それが理由で善逸と伊之助は徐々に機能回復訓練を休むようになった。

炭治郎は『全集中の呼吸・常中』という呼吸があることを知る。『全集中の呼吸・常中』は『全集中の呼吸』の呼吸を常に行うことであり、それを体得すると基礎的な身体能力が飛躍的に上昇した。カナヲはすでに『全集中の呼吸・常中』を体得していた。炭治郎は『全集中の呼吸・常中』の体得を目指して訓練を積んだ。

ある日の夜、炭治郎が屋根の上で瞑想をしていると、しのぶがやってきた。しのぶと話していた炭治郎は、しのぶから怒っている匂いがすることに気づいた。その事をしのぶに聞くと、しのぶは「そう…そうですね。私はいつも怒っているかもしれない。」と話した。

しのぶは姉を鬼によって殺されていた。しのぶの姉は鬼殺隊の隊員だったが、鬼に同情し、自分が死ぬ間際でさえも鬼を哀れんでいた。しのぶは姉の想いを継ごうとしていたが、姉を惨殺された事からどうしても鬼への憎悪を抱いてしまっていた。

しのぶは「炭治郎君、頑張ってくださいね。どうか禰󠄀豆子さんを守り抜いてね。自分の代わりに君が頑張ってくれていると思うと私は安心する。気持ちが楽になる。」と話して姿を消した。


【原作】6巻51話「日輪刀還る」~7巻53話「君は」

炭治郎は特訓を積み『全集中の呼吸・常中』を体得し、機能回復訓練を終えた。炭治郎が機能回復訓練を終えた事と、しのぶから発破をかけられたことにより善逸と伊之助も『全集中の呼吸・常中』を体得して機能回復訓練を終えた。

炭治郎は累との戦いで使用した『ヒノカミ神楽』について何も知らなかった。そこで、しのぶにも聞いてみたが、しのぶも何も心当たりがなかった。しのぶは炎柱の煉獄杏寿郎ならば何か手がかりを知っているかもしれない、と話した。
煉獄が乗車している列車『無限列車』へと向かうことになった炭治郎はアオイに礼を言いに行った。しかしアオイは「あなたたちに比べたら私なんて大したことはないのでお礼など結構です。選別でも運よく生き残っただけ。その後は恐ろしくて戦いに行けなくなった腰抜けなので。」と話した。

それに対し炭治郎は「そんなの関係ないよ。俺を手助けしてくれたアオイさんはもう俺の一部だから。アオイさんの想いは俺が戦いの場に持って行くし。」と言った。
続いて炭治郎はカナヲの元へ向かった。炭治郎はカナヲに礼を言うが、カナヲはニコニコしているだけだった。炭治郎がカナヲの反応を伺っていると、カナヲはコインを投げた。そして「師範の指示に従っただけなのでお礼を言われる筋合いは無いから。さようなら。」と話した。

カナヲから別れを告げられた炭治郎だったが、全く帰ろうとせずに「今投げたのは何?」「表と裏って書いてあるね。なんで投げたの?」「あんなに回るんだね。」と腰を下ろして質問した。

カナヲが「指示されてないことはこれを投げて決める。今あなたと話すか話さないか決めた。」と話すと、炭治郎は「なんで自分で決めないの?カナヲはどうしたかった?」と問う。カナヲは「どうでもいいの。全部どうでもいいから自分で決められないの。」と答えた。

炭治郎は「この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ。きっとカナヲは心の声が小さいんだろうな。」と返した。そして炭治郎は「よし!投げて決めよう!カナヲがこれから自分の心の声をよく聞くこと!表!表にしよう!表が出たらカナヲは心のままに生きる!」と言ってコインを投げた。

炭治郎が投げたコインは表だった。炭治郎はカナヲの手を握り、「カナヲ!頑張れ!人は心が原動力だから!心はどこまでも強くなれる!」と励ました。カナヲが「なっ何で表を出せたの?」とと問うと、炭治郎は「偶然だよ。それに裏が出ても、表が出るまで何度でも投げ続けようと思ってたから。」と笑顔で答えた。

「下弦の壱・魘夢との戦い」→