-珠 代-

***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 

炭治郎・禰󠄀豆子との出会い
~無限城編~
珠代の過去
珠世の血鬼術・能力

『日の呼吸』の使い手である継国縁壱が生きていた時代に鬼となっていた四百年以上生きる女性の鬼・珠代(たまよ)――。
鬼舞辻無惨によって人喰い鬼とされながらも、人心を取り戻して医師として人を助け、また鬼の首魁たる無惨の滅殺を目指す特異個体。無惨らからは“逃れ者”と呼ばれている。

竈門炭治郎に、同じく人喰い鬼とされてしまった竈門禰豆子を人間に戻す為の治療薬を開発するという希望を示し、その研究の為に禰豆子の血を定期的にサンプルとして送る事と、無惨からより多く血を与えられた十二鬼月の血を採取する事を依頼する。

自身の体を改造し鬼舞辻無惨の支配から逃れており、無惨を倒そうとしている。体を弄っている事で食人欲求はなく、多少の血を飲むだけで生きながらえることができる。血は輸血と称して人間から買っている。

さらには無惨以外には不可能である筈の『人間を鬼に変質させる』事に成功した――が、実現できたのは二百年以上もの時間をかけて愈史郎一人のみである。
【原作】2巻15話『医師の見解』

**ある時、珠世は瀕死の状態の愈史郎という青年と出会う。珠世は鬼となって生き延びたいか確認を取った上で愈史郎を鬼にした。その後、愈史郎と行動を共にする**



―炭治郎・禰󠄀豆子との出会い―

【原作】2巻14話「鬼舞辻の癇癪・幻惑の血の香り」
浅草で炭治郎・禰󠄀豆子と出会う。炭治郎は浅草の人混みの中で無惨と出会うが、無惨は周囲の人間を鬼にして騒動を起こし、その間に姿を隠した。炭治郎は鬼となった人が周囲の人を襲わないように抑えていたが、駆けつけた警官隊に取り押さえられそうになってしまう。

炭治郎は「やめてくれ!この人に誰も殺させたくないんだ!邪魔をしないでくれお願いだから!」と叫んだ。その時、「あなたは鬼となった者にも「人」という言葉を使ってくださるのですね。そして助けようとしている。ならば私もあなたを手助けしましょう。」というセリフと共に珠世と愈史郎が現れる。

珠世は幻覚を見せる血鬼術『視覚夢幻の香』を使い、炭治郎を助けた。炭治郎は匂いにより珠世が鬼だと気付く。珠世は「そう、私は鬼ですが、医者でもあり、あの男、鬼舞辻を抹殺したいと思っている」と話した。

そして珠世は鬼となった男性を連れ帰り、炭治郎と禰󠄀豆子を自分たちが隠れている館へと招いた――。

【原作】2巻15話「医師の見解」  
~3巻19話「ずっと一緒にいる」

珠世は館に来た炭治郎に、体を弄って無惨の呪いから逃れた事、愈史郎を鬼にした経緯を話した。そして、「鬼になった人を人に戻す方法はありますか?」と聞く炭治郎に、その方法はあると答えた。しかし、その方法はまだ確立できていなかった。

珠世は鬼を人間に戻す方法を見つけるために、禰󠄀豆子の血を調べさせて欲しいと炭治郎に頼んだ。人の血肉を喰わずとも凶暴化することがない禰󠄀豆子は、極めて特殊な鬼であった。
そしてもう一つ、無惨の血が濃い十二鬼月の血を採取してくるように頼んだ。

その時、無惨の手下である朱紗丸と矢琶羽が襲来する。
矢琶羽は炭治郎が相手し、朱紗丸は禰󠄀豆子、珠世、愈史郎が相手することになった。珠世は脳の機能を低下させる血鬼術『白日の魔香』を使用し、朱紗丸に無惨の名前を言わせた。朱紗丸は無惨の名前を口にしたことで『呪い』が発動し、無惨の細胞が暴走して死亡した。
戦いを終えた後、禰󠄀豆子はしきりに珠世と愈史郎に抱きついてきた。どういう事か珠世が炭治郎に聞くと、禰󠄀豆子は人間が家族に見えるように暗示をかけられており、珠世と愈史郎を人間と見なしていると話した。それを聞いた珠世は涙を流した。その後、無惨に居場所が割れてしまった為、珠世たちは浅草を後にした。



- 無 限 城 編 -

【原作】21巻180話「恢復」
無惨が人間に戻る薬を分解する為の繭の中に籠っている間、無惨を抑え込んでいた珠世もまたその内部に取り込まれてしまい、遂に無惨は薬の分解を終えて回復してしまう。珠世は既にほぼ崩れかけた頚だけの状態にされ、

「お前……は……今日……必ず……地獄に堕ち……る……」
「私の……夫……と……子供を……かえ……せ……」
最後の力を振り絞って吐き捨てるが、
「ならばすぐさま死んで 己が殺した身内の元へ行くがいい」と言い放った無惨によって喰い殺された。

 珠世が投薬した人間に戻る薬を無惨は分解、覚醒したと思われたが、実は薬は四種類投薬されており、無惨が白髪となったのはその効果で老化した為だという事が分かった。
薬の効果と種類は――
1.人間に戻る
2.1分で肉体を50年加齢させる
3.分裂阻害
4.細胞を破壊する
というものである。
1の薬を主軸とし、1が分解された時に2から4の薬の効果が出るように開発された。

これは胡蝶しのぶと共同研究で作られたものであり、四種類を組み込むという発案をしたのも彼女である。鬼である珠世に対する憎悪が抑えきれないしのぶと、それを察知してしのぶに殺意を向ける愈史郎の板挟みに遭い、居心地が悪そうにしていたが、しのぶの発想には素直に感心しており、薬の開発自体には問題はなかったようである。

しのぶもまた、禰豆子に使う分が足りなかった時の為に、こちらも珠世との共同で藤の花から鬼を人間に戻す薬を万が一に備えて作っていたが、それをカナヲに預けた際に、「鬼を人間に戻す薬は珠世さんが3つも作ってくださったので、これはもう必要なかった」「あの人は……すごい方です 尊敬します」と、鬼である珠世を「人」と呼んで称賛の言葉を漏らしていた。

【原作】22巻193話「困難の扉が開き始める」
無惨が白髪となったのは覚醒したからではなく老化した為であったのだが、人間に戻る薬だけを分解するのに注力して多くの力を使った無惨は、当初は自身の疲労や消耗はその為だと勘違いして気付いていなかった。

当然ながらこれらは全て珠世の計画通りであり、人間に戻す薬が分解される事は最初から想定済みで、あくまで他の3つの薬の効能を隠す為のカムフラージュに過ぎなかったのである。

その後無惨は、消耗した炭治郎が自身の攻撃を回避し続けた事で、自身の身体の異変に漸く気付いて、薬について吸収した珠世に問いただしている。

しかし珠世は薬について話すのを激しく拒絶しており、「無駄に増やした脳味噌を使って考えたらどうだ?」などと怒りと恨みを晴らすような言動で挑発している。

珠代が作ったこれらの薬は、しのぶが使っていた藤の花の毒とも全く異なる物であり、加えてそれぞれの薬同士も異なる物であった。

無惨ですら最初の人間に戻す薬の分解だけでも相当な時間が掛かり、それぞれ異なる3つもの薬を毎分力を削られ続ける状態だった。さらに力を消耗しながら、それ以上の時間を掛けて分解しなければならないという完全な悪循環に陥いるのである。

投薬により、無惨が分裂して逃走するのを防ぎ、さらに縁壱のように無惨より強い存在にならなくても戦えるように無惨を徹底的に弱体化させ続けた。――この2人の薬が無ければ無惨討伐はまず不可能だった。

なお、薬の効果が表れる前に、猫の茶々丸から珠世が作った血清が柱達に届けられている。それによって細胞破壊を一時的にではあるが、緩和する事もできた(その直後に茶々丸は無惨にバラバラに斬り刻まれてしまうが、決戦直前に鬼化に成功していた為に生存が発覚している)。

愈史郎は、無惨によって生み出された鬼でない為か、無惨の死後も鬼として生存することができた。炭治郎が無惨によって鬼化させられた時は既に日が昇っていたため参戦する事は出来ず、炭治郎が人間へと戻った際には隠れて涙ぐみながら、珠世の形見の簪に向けて「珠世様 終わりましたよ・・・」と呟いていた。

 

-珠 代 の 過 去-
 
無惨襲来の際、人間だった頃は病で余命幾許もなかったこと、子供が大人になるのを見届けたい一心で無惨の誘いにのって鬼と化してしまいました。結果として夫と子供を喰い殺してしまい、その後は自暴自棄になり更に大勢の人間を殺してしまったことなど、彼女が鬼になった経緯が明かされている。

「そんなことがわかっていれば私は鬼になどならなかった!!」
「病で死にたくないと言ったのは!!子供が大人になるのを見届けたかったからだ……!!」
その後は、戦国時代、継国縁壱に無惨が追い詰められた局面でその場にいた事が判明する。当時は既に無惨に対する憎悪と人としての理性を取り戻していたらしいが、呪いによる支配もあって無惨に従う事を強いられていた。

【原作】21巻186話「古の記憶」
縁壱に追い詰められた末に逃げ出すというあまりに生き汚い姿を晒す無惨に遂に激昂し、まだ無惨の支配下にあったにも関わらず無惨の名前を口に出して罵ったが、無惨は縁壱に絶命寸前まで追い詰められたせいで著しく弱体化しており、偶々近くにいた彼女に対する呪いが解けていた為に死なずに済んだ

それ以降は「無惨はあなたが生きている間は姿を現さない」と言いつつ、無惨を倒す為に行動する事を誓い、彼女の無惨を倒したいという強い意思を汲んだ縁壱によって見逃された。
 
**この回想で珠世は少なくとも四百歳以上の鬼である事が判明した。上弦の鬼最古である黒死牟よりも歳上であり、現存する鬼の中でも無惨本人を除けば、最も長い年月を生きている鬼である**
縁壱と別れてからは、動物や人間の死骸を喰らう事で何とか生き延び、食人衝動に襲われても縁壱の己への信頼の言葉を思い出しながら苦しみに耐え抜いて、そして無惨が弱体化している間にこれまで培った医療技術の全てを総動員して無惨の支配を完全に解除して身を隠し、人を喰わなくても生きられるように自身の身体を改造していった。
――その後、彼女の事は縁壱が当時のお館様に伝えていたらしく、その為に産屋敷一族は「無惨と敵対する珠世という名の鬼」の存在を代々把握していた。
【原作】15巻131話「来訪者」



―珠世の血鬼術・能力―

◆惑血(わくち)
自身の血の匂いを嗅がせることで発動する血鬼術。
匂いを嗅いだ者に効果が及ぶ為、匂いのする範囲に仲間がいると、仲間もその影響を受けてしまう。

◆視覚夢幻の香(しかくむげんのこう)
自身の血の匂いを嗅いだ者に、幻覚を見せる血鬼術。
花のような紋様が視界に現れ、行動を制限する。この術で、警官隊に取り押さえられかけた炭治郎を救った。

◆白日の魔香(はくじつのまこう)
脳の機能を下げる血の匂いを放つ。自白剤のような作用があり、嘘をついたり、秘密を守ることができなくなる。
この血鬼術を受けた朱紗丸は、無惨の名前を口にしてしまい、無惨の細胞が暴走して死亡した。
◆使い猫
茶々丸という名の雄の三毛猫。珠世の命により採血の短刀を運搬する。愈史郎の術により、鳴き声を出す事で姿を消したり現したりできる為に、隠密に役目を果たしている。

茶々丸は自分の意志で鬼になるかどうかを選べないため、珠世は申し訳ないと思いつつも、愈史郎が独りぼっちにならないようにと考えて鬼にしたのである。