-竈門 炭治郎-


***ネタバレ知りたくない方はご注意ください*** 



―煉獄家への訪問―

【原作】8巻67話「さがしもの」
~69話「前へ進もう少しずつでも構わないから」

炭治郎は煉獄の遺言を伝える事と、ヒノカミ神楽についての情報を聞きに煉獄家に向かった。煉獄家の前で炭治郎は煉獄の弟の千寿郎を見つけた。炭治郎が挨拶をしていると、煉獄の父親である槇寿郎がやってきた。

槇寿郎は「どうせくだらんことを言い残しているんだろう。大した才能も無いのに検視などなるからだ!だから死ぬんだ!くだらない…愚かな息子だ杏寿郎は!」と吐き捨てた。その言葉に炭治郎は「あまりにも酷い言い方だ!そんな風に言うのはやめてください!」と反論した。

その時、炭治郎の耳飾りを見た槇寿郎は驚いたような表情を見せ、持っていた酒を落とした。そして槇寿郎は炭治郎に「お前…そうかお前…"日の呼吸"の使い手だな?そうだろう!」と言って炭治郎を押し倒した。そして「お前、俺たちのことを馬鹿にしているだろう?」と続けた。

炭治郎には言っている意味がわからず、どういう事か聴くと「お前が"日の呼吸"の使い手だからだ!その耳飾りを俺は知ってる!書いてあった!そうだ"日の呼吸"はあれは!始まりの呼吸!一番初めに生まれた呼吸!最強の御技!そして全ての呼吸は"日の呼吸"の派生!全ての呼吸が"日の呼吸"の後追いに過ぎない!"日の呼吸"の猿真似をし劣化した呼吸だ!火も水も風も全てが!"日の呼吸"の使い手だからと言って調子にのるなよ小僧!」と槇寿郎は言った。

炭治郎はなぜそんなものが自身の家に伝わっていたのか疑問に抱いたが、それよりも煉獄を馬鹿にした槇寿郎を許せずに「乗れるわけないだろうが!今俺が自分の弱さにどれだけ打ちのめされてると思ってんだ!この糞爺!」と叫び、槇寿郎に頭突きを食らわせた。
その後、炭治郎は千寿郎に騒動を起こしたことを詫び、煉獄の最後の言葉を伝えた。

千寿郎はヒノカミ神楽の手掛かりがあると思われる歴代の炎柱の手記を持ってきた。しかしその手記は槇寿郎にて破られており、読むことができなかった。

炭治郎は「あの時、俺がもっと強かったら。一瞬で…煉獄さんを助けられるくらい強くなれる方法があったら…。ずっと考えていました。だけどそんな都合のいい方法はない。近道なんてなかった。足掻くしかない。今の自分ができる精一杯で前に進む。どんなに苦しくても、悔しくても。そして俺は杏寿郎さんのような強い柱に必ずなります。」と涙ながらに千寿郎に告げた。

帰り際、千寿郎は煉獄の形見である日輪刀の鍔を炭治郎に託した。



―上弦の陸・妓夫太郎/堕姫との戦い―
~遊 郭 編~

【原作】8巻70話「人攫い」~10巻80話「価値」

その後、炭治郎、善逸、伊之助は別々に任務をこなした。任務を終えた炭治郎が蝶屋敷へと帰ってくると、音柱の宇髄天元が蝶屋敷の女の子たちを無理やり任務に連れ出そうとしていた。それを見た炭治郎は「女の子に何してるんだ!手を放せ!」「アオイさんたちを放せ!この人さらいめ!」と叫んだ。

そんな炭治郎の態度を見て宇髄は「てめーらコラ!誰に口利いてんだコラ!俺は上官!柱だぞこの野郎!」と咎めたが、炭治郎は「お前を柱とは認めない!むん!」と答えた。それを聞いた宇髄は「むんじゃねーよ!お前が認めないから何なんだよ!こんの下っ端が!脳みそ爆発してるのか!?」と激怒した。

そこに善逸と伊之助も現れ、炭治郎たちはアオイたちの代わりに宇髄に同行することになった。
宇髄が向かう先は吉原で、炭治郎たちは鬼を探すために女装して遊郭に潜入することになった。吉原には上弦の陸である堕姫が潜んでいた。堕姫は花魁になりすまし、美しい女性を喰らっていた。

炭治郎は遊郭で炭治郎に優しくしてくれた花魁である鯉夏花魁へと礼を言いに行った。そして鬼を探しに行こうとするが、先ほどいた鯉夏花魁の部屋から鬼の匂いがすることに気付いた。炭治郎が急いで戻ると、そこには鯉夏花魁を帯に閉じ込める堕姫の姿があった。

炭治郎が「その人を放せ!」と言うと、堕姫は「誰に向かって口を利いてんだお前は。」と激昂し、炭治郎に帯で攻撃を加えた。
炭治郎は『水の呼吸』で対応するが、すぐに日輪刀が刃毀れを起こしてしまった。炭治郎は、自身の身体が『水の呼吸』に適しておらず、義勇のようになれないことに気付いていた。炭治郎は『ヒノカミ神楽』を使用して堕姫と渡りあった。しかし、堕姫は吉原に放っていた帯を回収し、本来の力を取り戻した。

その時、炭治郎たちが戦っている物音に気付き、吉原の人たちが集まってきた。堕姫はその人々に容赦なく攻撃した。そして「醜い人間に生きてる価値無いんだから。仲良くみんなで死に腐れろ。」と言った。それを聞いた炭治郎は怒りに満ち満ちた。

【原作】10巻81話「重なる記憶」~82話「人間と鬼」

炭治郎は槇寿郎から貰った手紙を思い出していた。
その手紙には「日の呼吸の選ばれた使い手は君のように生まれつき赤い痣が額にあるそうだ。」と書いてあった。

炭治郎は 「いいえ槇寿郎さん。この傷は生まれつきのものじゃない。これは元々、弟が火鉢を倒した時、庇って出来た火傷です。さらにその上を"最終選別"で負傷して今の形になりました。俺の父は生まれつき額に薄く痣があったようですが、俺は違います。俺はきっと選ばれた使い手ではないのでしょう。でも、それでも、選ばれた者でなくとも、力が足りずとも、人にはどうしても退けない時があります。人の心を持たない者がこの世には居るからです。理不尽に命を奪い、反省もせず、悔やむこともない。その横暴を俺は絶対に許さない。」という思いを抱いていた。
炭治郎は堕姫の足を掴み、日輪刀を振るった。そして鬼気迫る表情で「失われた命は回帰しない。二度と戻らない。生身の者は鬼にようにはいかない。なぜ奪う?なぜ命を踏みつけにする?どうしてわからない?」と堕姫に聞いた。

堕姫は炭治郎の言葉に聞き覚えがあった。それは無惨の記憶だった。堕姫の脳裏には、額に痣があり、炭治郎と同じ耳飾りをつけた男の姿が浮かんでいた。
堕姫は本来の力を取り戻した事で、これまでとは比べ物にならない速度、そして帯の硬度を手に入れていた。それ故に炭治郎を殺して柱の元へ向かおうとしていた。しかし、炭治郎は易々と堕姫の帯を斬った。堕姫は灼けるような痛みを覚えていた。炭治郎は堕姫の頸に刀を振るった。しかし、堕姫の頸は帯のように伸び、柔らかすぎて切ることができなかった。

堕姫は無数の帯を炭治郎に向けるが、炭治郎にはその全てがスローに見えていた。炭治郎は帯を一瞬にして斬り裂いた。その速度は堕姫が目に捉えられないほどだった。炭治郎は今度は頸が斬れることを確信した。しかし、炭治郎の脳裏に「お兄ちゃん息をして!お願い!」と言う妹の花子の姿が浮かんだ。

炭治郎は怒りで我を忘れ、限界を超えてヒノカミ神楽をを使用していた。そのせいで死ぬ寸前になっていた。我に返った炭治郎は咳が止まらず、身動きができずにいた。堕姫は炭治郎にとどめを刺そうとした。しかし、その時、禰󠄀豆子が堕姫の頭を蹴り飛ばした。

【原作】10巻83話「変貌」~85話「大泣き」

禰󠄀豆子は炭治郎を殺されかけた事で怒り、それが原因で鬼化が進んでいた。禰󠄀豆子は角を生やし、堕姫を上回るほどの再生速度を手に入れていた。そして堕姫を圧倒した。

意識を失っていた炭治郎は「兄ちゃん助けて。姉ちゃんが姉ちゃんじゃなくなる。」という弟の竹雄の声を聞き覚醒する。禰󠄀豆子は自分を制御できずに人間を襲おうとしていた。炭治郎はそれを必死に止めた。

その時、宇髄が姿を現した。宇髄は「おいこれ竈門禰󠄀豆子じゃねーか。派手に鬼化が進んでやがる。御館様の前で大見得切ってたくせに何だこのていたらくは。」と話した。
その時、堕姫が宇髄に話しかける。すると宇髄は「うるせぇな。お前と話ししてねーよ。失せろ。お前上限の鬼じゃねぇだろ。弱すぎなんだよ。俺が探ってたのはお前じゃない。」と言った。

次の瞬間、宇髄は堕姫の頸を落とした。宇髄は炭治郎の方に向き直り「ぐずりだすような馬鹿ガキは戦いの場にいらねぇ。地味に子守り唄でも歌ってやれや。」と話した。炭治郎は暴れる禰󠄀豆子を抑えられずに外に出たが、母親が歌っていた唄を歌う事で禰󠄀豆子の暴走は止まった。

【原作】10巻85話「大泣き」
~11巻92話「虫ケラボンクラのろまの腑抜け」

炭治郎は宇髄がいる建物から鎌が飛ぶのを見た。そこに善逸と伊之助がやって来る。炭治郎は善逸たちと共に宇髄の元へ戻った。そこには妓夫太郎という新たな鬼がいた。上弦の陸は堕姫と妓夫太郎のペアの鬼で、倒す為には同時に頸を落とさなければならなかった。そこで炭治郎と宇髄が妓夫太郎を、善逸と伊之助が相手することになった。

炭治郎は妓夫太郎と戦うが、妓夫太郎は堕姫と比べ物にならないほどに強かった。さらに妓夫太郎の攻撃には猛毒が含まれていた。炭治郎は妓夫太郎が放つ攻撃から宇髄を守ることに専念した。その時、宇髄の妻である雛鶴が藤の花の毒を塗ったクナイを妓夫太郎に放つ。しかし、妓夫太郎はすぐに毒を分解して標的を雛鶴に変えた。炭治郎は『水の呼吸』と『ヒノカミ神楽』を複合させ、雛鶴を救い出した。

その時、善逸たちが炭治郎のもとへ突っ込んで来る。善逸たちは堕姫に近付けずに苦戦していた。そこで炭治郎は先に善逸たちと堕姫を倒す事にした。炭治郎と善逸は堕姫の攻撃を防ぎ、伊之助が堕姫の頸を落とした。しかし、次の瞬間、妓夫太郎が現れて伊之助の胸を刺した。炭治郎が宇髄の方に目を向けると、宇髄は倒れていた。その後、炭治郎と善逸は建物の倒壊に巻き込まれる。

【原作】11巻92話「虫ケラボンクラのろまの腑抜け」
~94話「何とかして」

炭治郎が目を覚ますと、目の前には妓夫太郎がいた。妓夫太郎は「猪は心臓を一突き。黄色い頭は瓦礫に押し潰されて苦しんでるから死ぬまで放置するぜ。虫みたいにモゾモゾしてみっともねえよなああ。柱も弱かったなあ。威勢がいいだけで。毒にやられて心臓も止まって死んじまった。お陀仏だ。」と話した。しかし炭治郎は諦めていなかった。

炭治郎は妓夫太郎に頭突きをする。炭治郎は雛鶴から毒のクナイを渡されており、頭突きをする瞬間に妓夫太郎肉内を刺していた。妓夫太郎は一瞬の間、身動きが取れなくなり、炭治郎は妓夫太郎の頸に日輪刀を振り下ろす。それを堕姫が炭治郎に攻撃しようとするが、瓦礫から抜け出した善逸がそれを阻止した。しかし妓夫太郎の頸は硬く、炭治郎が頸を斬る前に妓夫太郎は回復する。

妓夫太郎は炭治郎の刀を弾き、攻撃を加えようとするが、そこに宇髄が割って入った。宇髄は独自の戦闘計算式『譜面』を完成させており、妓夫太郎の攻撃を全て捌いた。しかし、毒が回った体では妓夫太郎の頸を狙えず、炭治郎が頸を斬るしかなかった。炭治郎は妓夫太郎に鎌で顎を刺されながらも剣を振るった。

その時、炭治郎の額の痣が色濃くなった。そして炭治郎は妓夫太郎の頸を斬り落とした。その時、堕姫は善逸と復活した伊之助により頸を落とされていた。こうして上弦の陸は倒された。しかし、妓夫太郎は最後に血の斬撃を放ち、炭治郎は気絶した。

【原作】11巻94話「何とかして」
~97話「何度生まれ変わっても(後編)」

炭治郎が目を覚ますと、心配そうにこっちを見る禰󠄀豆子の姿があった。炭治郎は自身の身体から毒がなくなっている事を不思議に思った。

その時、善逸の助けを呼ぶ声が聞こえ、炭治郎は声のする方向へと向かった。そこには毒に侵されて死にかけている伊之助がいた。炭治郎はどう対処していいのかわからなかったが、禰󠄀豆子が血鬼術で伊之助を燃やした。すると伊之助の毒で爛れた皮膚が治った。その後、禰󠄀豆子は宇髄の毒も消しとばした。
炭治郎は珠世の研究の為に鬼の血を採取しようとした。その時、頭だけとなった妓夫太郎と堕姫を見つけた。妓夫太郎と堕姫は敗北した事で互いを罵りあっていた。

堕姫は「アンタみたいに醜い奴がアタシの強大なわけないわ!アンタなんかとはきっと血も繋がってないわよ!だって全然似てないもの!この役立たず!強いことしかいい所がないのに!何もないのに!負けたらもう何の価値もないわ!出来損ないの醜い奴よ!」と口にした。

それに対し妓夫太郎は「ふざけんじゃねぇぞ!お前一人だったらとっくに死んでる!どれだけ俺に助けられた!出来損ないはお前だろうが。弱くて何の取り柄もない。お前みたいな奴を今まで庇ってきたことが心底悔やまれるぜ。お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた!お前さえいなけりゃなあ!何で俺がお前の尻拭いばっかりしきゃならねえんだ!」と言った。

そして「お前なんか生まれてこなけりゃ良かっ…」と言いかけたが、そこで炭治郎が「嘘だよ。本当はそんなこと思ってないよ。全部嘘だよ。」と割って入った。
炭治郎は「仲良くしよう。この世でたった二人の兄妹なんだから。君たちのしたことは誰も許してくれない。殺してきたたくさんの人に恨まれ憎まれて罵倒される。味方してくれる人なんていない。だからせめて二人だけはお互いを罵り合ったら駄目だ。」と告げた。
それを聞いた妓夫太郎は人間の頃の記憶を思い出した。
妓夫太郎と堕姫は吉原で生まれ、劣悪な環境で育った。その時「俺たちは二人なら最強だ。寒いのも腹ペコなのも全然へっちゃら。約束する。ずっと一緒だ。絶対離れない。ほらもう何も怖くないだろ。」と二人は約束を交わしていた。そして妓夫太郎は堕姫と一緒に消えていった。
→「堕姫・妓夫太郎の過去



―先祖の記憶―

【原作】12巻99話「誰かの夢」

炭治郎は上弦の陸の戦いの後、二ヶ月間眠り続けた。炭治郎は眠っている間に先祖の記憶を見た。そこには、額に痣を持ち、炭治郎と同じ耳飾りを付けた男がいた。

炭治郎の祖先である炭吉は、子供をあやしていた耳飾りの男に飯を出した。男は「これを飲んだら私は出て行く。ただで飯を食い続けるのも忍びない。」と話した。炭吉は「そんな!あなたは命の恩人だ。あなたがいなければ俺たちどころか、この子も生まれていなかった。」と言ったが、耳飾りの男は何も返答しなかった。

炭吉が「…わかりました。ならばせめてあなたのことを後世に伝えます。」と言うと、男は「必要ない。」と断った。「後を継ぐ方がいなくて困っておられるんでしょう。しがない炭焼きの俺には無理でも、いつか誰かが…」と炭吉が言うと、
男は「炭吉、道を極めた者が辿り着く場所はいつも同じだ。時代が変わろうとも、そこに至るまでの道のりが違おうとも、必ず同じ場所に行きつく。お前には私が何か特別な人間のように見えているらしいが、そんなことはない。私は大切なものを何一つ守れず、人生において為すべきことを為せなかった者だ。何の価値もない男なのだ。」と答えた。
→「炭治郎の先祖・炭吉との出会い


「刀鍛冶の里での訓練」→