鬼滅の刃-立志編
~兄妹の絆~








第1話「残酷」
【原作】1巻1話『残酷』

時は大正、日本。炭を売る心優しき少年・竈門炭治郎は、家族とともに山でつつましくも幸せな日々をおくっていた。

ある日、町に炭を売りに出かけた炭治郎が山に戻ると、家族は鬼に襲われ血だまりの中で絶命していた。唯一、一命をとりとめていた妹・襧豆子を救うべく、降りしきる雪の中背中に背負い必死に雪山を下りる炭治郎。その途中、襧豆子は突然唸り声を上げ、炭治郎に襲いかかる――。

そこに謎の剣士が駆け付け、「鬼となってしまった以上はこうするしかない」と禰豆子を殺そうとする。しかし妹を必死に守ろうとする炭治郎が見せた戦士としての才覚の片鱗と、鬼となってなお兄を守ろうとする禰豆子の強い精神力を見て考えを改める。彼は炭治郎に「狭霧山に向かえ」と告げて、“冨岡義勇”という自分の名を言い残して二人の前を去る。



第2話「育手・鱗滝左近次」
【原作】1巻2話『見知らぬ誰かが』
      ~3話『必ず戻る夜明けまでには』

夜の道中、炭治郎はお堂から血の匂いを嗅ぎつける。誰かが怪我をしているのかもしれないと駆け寄ると、なんとそこにいたのは、人を喰らう鬼。突如、鬼に襲われた炭治郎は、斧でなんとか応戦するが、鬼の圧倒的な力に、たちまち鬼に組み伏せられてしまう。鬼がとどめを刺そうとしたとき、助けに入ったのは――。

義勇に勧められた先に待っていたのは、彼の師である鱗滝左近次(うろこだき さこんじ)という老剣士だった。鱗滝は命がけの戦いに赴くにはあまりにも優しい炭治郎の気質を不安視するも、義勇から受け取った手紙と妹のために死に物狂いで強くなろうとする炭治郎の想いの強さを認めたことで、彼を弟子として育て始める。

体術、剣術、様々な戦いの心得。鬼としての本能に抗うように眠ったままの禰豆子を案じながら、鱗滝の下で戦うための技と力を身に着けていく炭治郎。



第3話「錆兎と真菰」
【原作】1巻4話『炭治郎日記・前編』
      ~5話『炭治郎日記・後編』

鬼殺隊――古より存在し、鬼を狩る組織。入隊のための試験「最終選別」に向けて、鱗滝左近次による炭治郎の訓練が始まった。様々な罠が張り巡らされた山下り、刀の素振り、滝修行、そして呼吸法―。

狭霧山に来て修行を開始して一年、特殊な呼吸法で身体能力を劇的に上昇させる鬼殺隊の剣士特有の技法「全集中の呼吸」も修めたある日、鱗滝は「もう教えることはない」と炭治郎へ言い放ち、彼を人の背丈よりも大きい大岩の前に案内して「これを刀で斬れ」と言い出す。
刀で岩が切れるわけがない。困惑する炭治郎に、しかし鱗滝は「もう他に教えることはない」と告げて修行場を後にする。
迂闊に岩に切りつければ刀が折れる。半年かけて試行錯誤しても岩を斬る糸口はつかめず、どうすればいいのかと頭を抱える炭治郎の前に、共に狐の面を付けた錆兎(さびと)という少年と真菰(まこも)という少女が現れる。

錆兎は炭治郎を「弱い」と断じると、圧倒的な技量を見せつけて彼を叩きのめす。炭治郎は自分とそれほど変わらない歳に見える錆兎の剣の腕前に驚嘆し、真菰に見守られ、時に彼女のアドバイスを受けながら必死に修練を重ねる。何度も何度も錆兎に挑んでは負け続けた炭治郎だったが、半年かけてついに彼に勝利する。

その瞬間、夢現のように錆兎と真菰の姿は消え失せ、錆兎の面に向けて振り下ろしたはずの彼の刀は鱗滝から課せられた大岩を両断していた。



第4話「最終選別」
【原作】1巻6話『山ほどの手が』~2巻8話『兄ちゃん』
鱗滝の弟子のほとんどは、鬼殺隊への入隊試験である「最終選別」にて命を落としていた。「もう自分の育てた子供たちを死地に送りたくない」との一心で、鱗滝は炭治郎に“大岩を斬る”という無理難題を申し付けたのだった。錆兎たちとの修練でそれをクリアした炭治郎が自分の想像以上の力を身に着けたことを認めた鱗滝は、彼に手製の厄除の面を授けて最終選別へと送り出す。
鬼が捕らえられた藤襲山(ふじかさねやま)で七日七晩を生き残る、それが最終選別の内容だった。この試練に臨んだ炭治郎は、山中を踏破しながら鬼と戦い、自分の剣技が鬼にも通じることを確信して自信を深めていく。

しかしそんな彼の前に、手鬼(ておに)と呼ばれる異形の鬼が現れる。手鬼は藤襲山に捉えられている鬼としては規格外に巨大で、かつ強大な力を持っていた。共に最終選別に臨んだ少年たちが次々と捻り殺される様に戦慄する炭治郎に、手鬼は彼が身に着けた厄除の面を見て「お前は鱗滝の弟子だろう」と指摘する。

手鬼はかつて、鬼殺隊の剣士として現役だった頃の鱗滝に敗れて藤襲山に囚われた鬼だった。このことから鱗滝への恨みを募らせ、最終選別に臨む若き剣士たちの中でも彼の手製の面をつけた者=鱗滝の弟子たちを集中的に狙って襲っていた。錆兎も真菰も手鬼と戦って敗れ、霊となってまで狭霧山に戻り、師である鱗滝と弟弟子を見守っていたのだ。

目の前にいるのが兄弟子・姉弟子たちの仇であると知って怒りを募らせ、新たな犠牲者を出さないためにも今ここで倒すと決意する炭治郎。手鬼はそんな彼をも手にかけようと猛攻を加えるも、錆兎や真菰との修練を重ねた炭治郎は危ういところでこれを凌ぎ、鱗滝さながらの動きで相手に肉薄、ついにこれを討ち取る。



第5話「己の鋼」
【原作】2巻8話『兄ちゃん』~9話『おかえり』
朝日が昇り、七日間の戦いの果てに生き残った剣士たちはたったの四名だった。生き抜いた炭治郎たちを出迎えた案内役からは、鬼殺隊についての説明が行われる。それぞれに鬼殺隊の隊服、伝令役となる鎹鴉が支給され、最後に、自身の日輪刀を造る玉鋼を選んだ。

厳しい戦いを切り抜けて、炭治郎は最終選別を突破。禰豆子と鱗滝が待つ狭霧山へと帰還し、鬼殺隊の剣士として最初の一歩を踏み出すのだった。