鬼滅の刃-立志編
~鼓屋敷編~








第1話「鼓の屋敷」
【原作】3巻20話『我妻善逸』~21話『鼓屋敷』
鎹鴉から告げられた次なる鬼退治の地は南南東――
浅草での戦いも癒えぬまま、新たな任務に向かわされる炭治郎。日光に弱い禰豆子を背にした大きな箱に入れて進む中、「どうせすぐ死ぬから結婚してくれ」と泣き叫んで道行く少女にすがりつく少年を発見する。それは炭治郎と同じタイミングで鬼殺隊への入隊を果たした、我妻善逸という人物だった。

見るに見かねて少女を逃がす一方、ひたすら弱音と泣き言ばかり口にする善逸に辟易する炭治郎。次の任務は彼と合同で取り掛かるものらしく、炭治郎は渋い表情を浮かべながらも善逸と共に進んでいく。
炭治郎たちが辿り着いた先には、山中に建てられた不気味な屋敷が存在していた。近くには震える幼い兄妹・正一(しょういち)とてる子(てるこ)がおり、聞けば彼らの兄・清(きよし)がこの屋敷の中に連れ去られてしまったのだという。

時間を掛ければ清の命が危ない。さすがに背負ったままでは動きにくいと判断した炭治郎は、禰豆子が入ったままの箱を「これは俺の命より大切なものだ」と言って正一たちに預け、善逸と共に屋敷に乗り込む。

しかし自分たちだけで取り残されることに恐怖した正一たちもついてきてしまい、彼らを安全なところに連れていこうとした矢先、屋敷内の部屋と部屋が音も気配もなく入れ替わり、一行は分断されてしまう。



第2話「猪は牙を剥き 善逸は眠る」
【原作】3巻21話『鼓屋敷』~22話『突然の猪』
部屋と部屋を入れ替えたのは、屋敷の主である響凱(きょうがい)という鬼の持つ異能の力だった。誰が清を食べるかで鬼同士が揉めた際、響凱は“屋敷内の空間を入れ替える”力を持つ鼓を落としてしまったのである。

清が咄嗟にこの鼓を拾い、その力を利用して今も必死に屋敷の中を逃げ回っており、それに炭治郎たちも巻き込まれてしまったのだった。

その響凱や、先んじて屋敷に乗り込んでいた同輩・嘴平伊之助(はしびら いのすけ)とも接触しながら、一緒に空間ごと飛ばされたてる子と共に善逸や清たちとの合流を目指す炭治郎。



第3話「命より大事なもの」
【原作】3巻21話『鼓屋敷』~3巻25話『己を鼓舞せよ』
なんとか清を保護することには成功するも、響凱や屋敷に救う鬼たちはなお清を食べることを諦めず、炭治郎たちはそれぞれにこれを迎え撃つ。

善逸が、伊之助が、それぞれに力を発揮して鬼を討ち取る中、炭治郎は響凱を相手に苦戦する。それでも相手の異能の仕組みを見破り、負傷の痛みを堪えて立ち回り、なんとかこれを撃破することに成功。

同時に響凱の力で歪められていた空間も正常な状態に回復し、炭治郎は清やてる子と共にようやく屋敷を脱出する。



第4話「藤の花の家紋の家」 
【原作】4巻26話『素手喧嘩』~28話『緊急の呼び出し』
屋敷の外へ出ると、先に脱出していた善逸と出会う。だが、禰豆子の入った木箱を抱えボロボロになった善逸、そして二刃の日輪刀を抜いた猪頭を被った男が立ちはだかる異様な状況を目の前にする―。

伊之助は「この箱の中には鬼が入っている」と気付いてこれを串刺しにしようとしたものの、「鬼が入っているのは分かっているが、炭治郎が自分の命より大事にしているものだ」と言い張って善逸が必死にそれを制し、結果このようなことになっていた。

箱を守るために一方的に打ち据えられる善逸を見て、炭治郎は激昂。大切な妹と、頼りなくても新たな仲間となった少年を守るために、伊之助に飛び掛かる。

伊之助は禰豆子の入った箱を諦める様子もなく暴れ続け、その獣じみた動きに翻弄される炭治郎だったが、持ち前の石頭で頭突きを食らわせてどうにか彼を失神させる。
こうして鼓屋敷での戦いは決着するも、禰豆子を巡るトラブルもあり、炭治郎たちはそれぞれにかなりの深手を負っていた。清たち三兄妹と別れた後、炭治郎、禰豆子、善逸、そして“自分を倒した炭治郎”にしつこく再戦を要求する伊之助の四人は、鬼殺隊の剣士たちの療養所である「藤の家」へと向かうこととなる。
かつて鬼殺隊に命を助けられた一族が、彼らのために各地に用意している屋敷。それが藤の家である。それぞれに肋骨を何本も折る重傷を負った炭治郎、善逸、伊之助の三人は、ここでしばしの療養生活を送ることとなる。

箱の中身である禰豆子が見目麗しい少女であることを知るや、炭治郎に妙に馴れ馴れしく接するようになった善逸――。
何かにつけて炭治郎を挑発するも、やり口が子供じみていて相手にされず、「なんでアイツ怒らないんだ」と頭を抱える伊之助――。
そんな二人に手を焼きつつ、鬼殺隊に入隊して以来初めての休息を噛み締める炭治郎――。
三人はそれぞれに心と体を休めながら互いの人柄を知り、自覚も無いままに絆を深めていく。
やがて炭治郎たちの負傷が完治すると、彼らに新しい任務が下される。那田蜘蛛山というところで大規模な討伐が行われているらしく、それに参加しろというのだ。

「どのような時も誇り高くあれ」との激励と共に送り出される、炭治郎、善逸、伊之助。もちろん禰豆子も一緒である。ここに来るまでバラバラだった三人は、まるでそれが以前からの当たり前のことのように、連れ立って那田蜘蛛山へと向かうのだった。